ライカのブランド力

ライカ・Leica M Monochrom + リコー・GR21mmF3.5

 一般的なデジタルカメラで撮ったカラー画像からモノクロ画像に変換したり、カメラ内蔵のモノクロモードで撮って白黒写真を得ることはカンタンにできる。しかし、その白黒写真を見るとどうも"違う"のである。白黒フィルムで撮った写真とである。
 ナニが違うのか、と問われても困るのだが、曖昧な答えになるけれど「諧調」かなと思う。ディープシャドー部の黒のシマリは、まるで宇宙の果てのように黒くて深いのだけど、ぼくが興味を持ったのはハイライト部の描写だった。

 白とびがほとんどなくて、微妙に、わずかにグラディエーションが残っている。いや、もちろんハイエストライト部は"真っ白"に写るけれどその「白さ」が違う感じ。だから、なんとなく立体感があるんですよね、画像に、写真に。
 いままで長年デジタルカメラを使ってきて"初めて"感じたフィルムライクな奥行き感のある画像だった。こうしたテイストがデジタルカラー画像にもっとも欠けていた部分ではないだろうか。このライカM モノクロームのデジタル白黒画像をよく見つめてみることで、デジタルカラー画像の画づくりでやらねばならいことが見つけられるかもしれない。抽象的で観念的なハナシで申し訳ないけど。

 ところで、これがドイツおばさんのようなライカM モノクロームの後ろ姿。ホットシューの右肩に「MONOCHROME」と小さく刻印があるだけ。


 フィルムカメラでは長い歴史と伝統を持つライカだけどデジタルカメラについては新参もいいところ。デジタルカメラの新人だ。カメラメーカーとしてはフィルムカメラからデジタルカメラに切り替えるのがもっとも遅かったメーカーのひとつだろう。でも、そうしたハンディを乗り越えてよくがんばっていると思う(まだまだ未熟なところもなくもないけど)。
 しかし、M モノクロームにしたってそうだが、ライカの画質を見ると写真画質のなんたるかをよく知っているように感じる。ライカのターゲットとするユーザーが「一般」ではなく「特殊」な人たちだから、ぐいぐいと"こだわり"を最優先して画づくりをしていけるからに違いない。だから、もちろん大量に売れることなどハナから考えていない。

 ライカ社すべてで現在の総社員は約1300人。販売も設計も製造も、そしてカメラだけでなくレンズ製造も含めてすべて約1300人の会社だ。いまは、あのエルメスの翼下に入っている。
 その人数で ―― 多いと思うか少ないと思うか ―― フィルムカメラ(ほそぼそと続けている)、デジタルコンパクトカメラ(一部、他社のお世話になっている機種もあるようだけど)、そしてM型(フルサイズ判にも早くから取り組んでいる)、さらに中判デジタルカメラ(どんな理由があろうとめちゃくちゃ高いカメラだが)、交換レンズあれこれ(ツアイスレンズに比べるとやや魅力に乏しいけど)を作り続け売り続けている。

 ライカのブランド力だ、といってしまえば元も子もない。確かにそれもあるだろうけど、ぼくは決してそれだけではないように思う。我らのカメラメーカーが、いまあらためて「参考」にしてみるところもあるんではないだろうか。