ファインディテール処理

オリンパス・E-PL5 + M.ZUIKO DIGITAL ED60mmF2.8 Macro

 ローパスフィルターはベイヤー方式の撮像センサーで発生してしまうモアレ/偽色を抑制し目立たなくする働きがある。しかし、逆に解像感を低下させてしまうデメリットもある。そのローパスフィルターには薄い水晶やニオブ酸リチュウムなどを使った光学式ローパスフィルター(OLPF)と、画像処理でモアレ/偽色が目立たないように処理するデジタルローパスフィルター(ぼくの造語)の2種類がある。このことは前回のブログでも説明をした。
 で、オリンパスのE-5以降のカメラは、光学ローパスフィルターを取り去り、そのかわりにデジタルローパスフィルターの処理 ―― これがファインディテール処理 ―― をおこなって解像感を高めモアレ/偽色を目立ちにくくしている、というのがぼくの推測(いや、断定してもいいけど)。

 「光学ローパスフィルターを外したのなら解像感がアップする、いい話じゃないか、なぜオリンパスはそれを宣伝しなかったのか」と、疑問に思う人もいるだろう。
 でも考えてもみてほしい。E-5が発売されたのはざっと2年以上前のことだ。その頃というのは ―― たった2年ほど前のことだけど ―― ローパスフィルターのメリットとデメリットについての認知度が今とは比べものにならないほど低かった。ローパスフィルターを取り外すことで解像感が向上するといったメリットが一般的に知られるようになったのはごく最近のことだ。それまでは、一部の人たちが、「ローパスを外してしまうとモアレ/偽色が出まくるぞ」とデメリットを喧伝していただけだった。

 そんな状況のときにですぞ、他のカメラメーカーに先駆けて「光学ローパスフィルターを取り去った」と言おうもんなら、重箱の隅をつつくようにしてモアレ/偽色を探し出し、鉦や太鼓で大騒ぎするのが目に見えている(いまでもその傾向なきにしもあらずだけど)。


 特別な撮影シーンでほんのわずかモアレ/偽色がでることがあるといった程度なのに、まるで鬼の首を取ったかのように嬉々としてモアレだ偽色だと騒ぎたて、だからこのカメラはだめなんだと一直線短絡判断されかねない。
 それよりも、「ローパスフィルターの効果を弱めた」とか「薄いローパスフィルターを採用」することで解像感を向上させた、と言うほうが、メーカーにとってはリスクは少ない。"難しい説明"をしなくても済む ―― D800/D800Eでニコンがどれだけ丁寧にローパスレスのメリットとデメリットをアナウンスしているかご存じのことだろう ―― 。

 デジタルローパスフィルター(オリンパスでいうところのファインディテール処理)の処理技術は、まさに各カメラメーカーが取り組んでいる重要な画像処理技術のひとつ。光学ローパスフィルターの必要のない画像処理をめざそうとしているわけで、実際に、効果の少ない光学ローパスフィルターとデジタルローパスフィルターを組み合わせているメーカーもあるし、ペンタックスのK-5IIsのように光学ローパスフィルターを取り去ったうえで少しだけデジタルローパスフィルターの処理を加えているメーカーもある。ニコンD800Eだってそうだ。
 ただし、デジタルローパスフィルターの処理を強くしすぎると光学式と同じように解像感を失ってしまう。さじ加減がまだまだ難しい処理でもある。

 しかし、デジタルローパスフィルターの処理技術そのものは、ゆっくりだけど着実に進化してきている。オリンパスのファインディテール処理だって、この約2年の間にだいぶ進化しているものと思われる。たとえば、OM-D E-M5とE-PL5/E-PM2の画像をよく見比べてみると、同じセンサーなのにわずかだけどE-PL5/E-PM2のほうが解像感が高い(シャープ感がある)。これは、おそらくファインディテール処理の進化のせいではないか、とぼくは考えている。だから、E-PL5とE-PM2の画質は、ちょっと注目しておいてもいいですぞ、というわけ。