愉しいカメラだ

キヤノン・PowerShot N

 PowerShot Nを見た時その外観から、エーリッヒ・ザロモンが使っていたエルマノックスを思いだした。液晶モニターを跳ね上げてカメラを構えると、ますますエルマノックスのような感じになる(いや、使ったことはないのだけど、ま、いいじゃないか)。
 Nは、約1210万画素の1/2.3型CMOSセンサーを使って、28~224mm相当の小さな8倍ズームレンズを内蔵した文字通りのコンパクトカメラである。背面の液晶モニターは2.8型で、それが上方にほぼ水平状態まで可動する。Wi-Fi機能を内蔵。メモリーカードはmicroSD。

 使い始めてみると、これが「戸惑う」ばかりで、とにかく従来のカメラの「セオリー」からおおきくハズれている。そのひとつ、カメラの持ち方をどうすればいいのか、これが難問だった。ボディ外装は逃走されているからつるんつるんしているし、とにかく、いままでのカメラのように右手でボディをグリップしてといことができない。そこでぼくは、液晶モニターを少し跳ね上げて、それを持つことにした。
 メインスイッチはボディ左側サイドに、まるで遠慮のカタマリのようにちっちゃなボタンが配置されている。右側サイドには、これまたちっちゃな撮影モード切り替えレバー、Wi-Fiレバーと再生ボタン。たったこれだけ。


 どんなカメラにもある、あのシャッターボタンがないのも困った。
 いや、シャッターを切る仕組みは備わっているのだが「ボタン」がないのだ。シャッターを切る方法は2つある。1つはタッチパネル式液晶モニター画面を指先で押す方法、もう1つは、レンズ鏡筒にあるシャッターリングを押す方法である。いまではもっぱらシャッターリングを操作して撮影をしているが、この操作に慣れるまでがチョイたいへんだった(Nにかんしてはモニター画面タッチシャッターはおすすめしない)。

 左手で少し跳ね上げた液晶モニターをしっかりとホールドして、右手の親指と人差し指とでシャッターリングをつまむようにする。だからカメラはウエストレベルに構えるような姿勢になる。小さな二眼レフカメラを構えているようなスタイルだ。
 このホールディングが一番のおすすめスタイル。
 ズーム操作はシャッターリングの手前に同じくリングがあるので、指先を少しずらせばカンタンに操作ができる。シャッターリングの半押しでAFロックもできる。カメラを逆さまに構えればハイアングル撮影も容易にできる。
 Nを、思ったように使いこなすまでには苦労はしたけれど、でも、写真を撮ることがこんなに愉しいことなのか、とあらためて思わせてくれるカメラでもあった。