あのIXYはどこに行ってしまったのか

キヤノン・IXY 140

 キヤノンのコンパクトデジタルカメラには2つのブランドシリーズがある。1つが「IXY」、もう1つが「PowerShot」。IXYシリーズのカメラは、小型軽量で金属ボディで高い品質がウリである。スタイリッシュでしゃれたデザインのカメラという印象が強い。どちらかと言えばキヤノンの考え方としては、PowerShotシリーズが「海外向け」なのに対して、IXYシリーズは「国内向け」というスタンスだ。




 カメラのツクリの良さという点でみれば、文句なしにIXYのほうが優れていた(一部のPowerShotを除くけど)。材質、仕上げ、スタイルがとにかく良かった。おおげさだが、工芸品のような優れた仕上げのカメラもあった。でも、最近のIXYは以前のIXYとはだいぶ違ってきている。ごくごくフツーのコンパクトデジタルカメラになってきた。
 IXYといえばキヤノンのカメラの「自慢の1つ」でMADE IN JAPANにこだわって、大切なマザー工場でもある大分にある工場で高級一眼レフカメラと同じ場所で作り続けてきた。

 カメラ本来の目的とは違うが、IXYのカメラは写す以前に「見て愉しい、持って愉しい」ところがあった。両手でカメラを操作し眺めているだけで、いいカメラだなあ、と嬉しくなるような機種もあった。ぼくはずーっと長い間、IXYのファンで、新型のIXYを見るたびに使うたびに感心することがいっぱいあった。
 ところが最近のIXYは、以前の機種に比べるとナンだか「安っぽい」気がするのだ。IXYというブランドのわりにはツクリがザツになっているような印象も受ける。ふと、どこで作ってるんだろうかとカメラを見てみるとMADE IN CHINA。カメラを中国で作っているからどうのこうのを言うつもりはまったくない(そんな時代錯誤的な価値判断はいくらなんでもしない)。

 大分の品質基準が中国にきちんと伝わっていないのか(それは考えにくい)、それとも、IXYブランドのカメラの品質基準にキヤノンの中で大きな転換があったのだろうか。
 とにかく、最近のIXYは「名ばかり」ですっかり形骸化してしまったことは事実で、IXYファンのぼくとしてはひじょうに悲しい。