「悪魔のレンズ」

ニコン・D800E+カールツアイス・ZEISS Otus 1.4/55

 あるレンズ設計者が、とあるところでぼくに、「タナカさん、あのツアイスの55mm、悪魔のレンズですねえ。チャートを撮ってみたら、どこにもまったくスキがない。凄いレンズです…」と呆れたように言っていたのが、今年の1月ごろのこと。海外ルートで入手してチェックしてたようで、そのレンズがようやく国内でも発売されることになり、ぼくも使うことができた。約40万円。50mmにしては、ちょっと高めのレンズ。


 撮ってみて「悪魔のレンズ」の意味がよーくわかった。
 いやはや、なんというか、驚異的な描写力のレンズだ。F1.4の開放絞り値で、そこまで写るのか、と、まずそれに驚いた。シャープで線の細い解像描写力も素晴らしいのだけど、グラディエーションというか諧調描写力が充分にある。だからとても立体的に見える。
 ただし、このレンズ、使いこなしは相当に難しい。そのへんのことについては、後日にでもおいおいと。

 開放F1.4では周辺光量不足が"かなり"目立つのが、ぼくは別にどーってことないのだけど、気になる人もいるんじゃないか。まったく同じシーンを画角を変えずにF1.4で撮った画像と、そこから2段ほど絞り込んで撮った画像を比べてみると、F1.4画像のほうが約2/3EVほど露出アンダーに見える。

 周辺光量不足の現象には大きく2つのタイプがある。1つは画面四隅あたりでドンと光量低下するタイプ。このタイプは四隅の光量低下が著しいのだけど、画面の中心部からそこそこの範囲までは光量低下が目立ちにくい。
 もう1つは、画面中心部付近から四隅にかけて、なだらかに光量低下していくタイプだ。Otus 1.4/55がこのタイプ。こちらは開放絞り値と絞り込んだときで、画面の明るさにはっきりとした差が目立つ。絞り込むことで周辺光量不足がなくなるからだ。
 画角を変えずに同じシーンを絞り値を変えて撮影するときは、とくに後者のタイプ、つまりOtus 1.4/55のようなレンズではちょっと注意する必要がある。