一眼レフの課題と位相差AFの将来

ニコン・D800E+カールツアイス・ZEISS Otus 1.4/55

 いまさらの話だけど、このOtus 1.4/55レンズはMFレンズである。AFの機能はない。AF対応のカメラボディで使う場合は、フォーカスエイドの機能を利用することはできるが自分でピントリングを操作して、自分の眼でピントを確認して撮影をしなければならない(MFレンズだから当たり前だ)。

 で、その当たり前の、自分でピントを合わせることが、いまの高画素化したデジタル一眼レフカメラで、どれだけ難しくて、どれだけ大切なことなのかを、Otusのような大口径MFレンズを使ってあらためて痛感した。ずっと長い間、AFに頼り切って、のほほんと撮影してきてそんな「カラダ」になってしまった自分のふがいなさにも…。




 全面的にカメラのせいにするつもりはないのだけど、一眼レフカメラがAF対応になった頃からだんだんとファインダースクリーンの様子が変わってきた。MF時代はマット面でもピントが合わせやすいような(ピントの山が明確にわかる)ファインダースクリーンだったし、マイクロプリズムやスプリットイメージの機能を持ったスクリーンもあった。

 AF時代になって、とにかくファインダースクリーンを見やすく明るくする方向に突き進んでしまったために、その逆作用としてMFでのピント合わせがめちゃくちゃ大変になってきている。
 55mmでF1.4という焦点距離とF値だからかもしれないが、現在のAF一眼レフカメラでMFレンズを使って正確にピントを合わせることは至難のワザである。これが、もし100mmF2のMFレンズだったらもう少しピントが合わせやすかったかもしれない。

 いまの位相差AFの「精度」にも問題があるのかもしれない。
 ファインダースクリーンでのピント合わせがままならないので、仕方なくファインダー画面下部に表示される合焦ランプ(グリーンLED)を見てピントの再確認をしようとしたのだけど、レンズのフォーカスリングを少し回転しても点灯したまま。ピントリングを(少しだけだけど)回転しているということは、ピント位置がずれているはずだ。にもかかわらず、カメラのほうは「合焦している」と言い張る。で、案の定、それを信じて撮ってみるとピンぼけだ。

 一眼レフ内蔵の位相差AFは数年前に比べれば相当に良くなってきているはずだけど、その進化を遙かに追い抜くスピードでデジタルカメラは高画素化していき、画像サイズが大きくなっているから許容錯乱円の"サイズ"をもっともっと小さくして位相差AFの精度を高めなくてはならない。フィルム時代の許容錯乱円をベースにして設計されているような位相差AFでは、いまや、とても使いものにならない。
 だから、AFでピント合わせして撮影したって結果的には似たようなことになる。

 というわけで、Otusのような大口径MFレンズとD800Eのような高画素高解像力のカメラ使って撮影するときは、ライブビューモードにして撮像面でしっかりとピント合わせをする方法でないと、とてもレンズの実力を発揮することは難しい。素晴らしいレンズだけど、心して使うべきレンズでもある。