単焦点レンズの描写性能を超えるズーム

オリンパス・OM-D E-M1+M.ZUIKO DIGITAL ED40~150mmF2.8PRO

 オリンパス渾身の高画質高性能ズームレンズである。

 フルサイズ判換算で80~300mm相当の画角をカバーする小型軽量の大口径ズーム。開放F値はコンスタントF2.8。インナーフォーカス、インナーズームだからズーミングしてもフォーカシングしてもレンズ全長はまったく変化しない。AFも高速だし使い勝手はすこぶる良い。いや、それよりもなによりも、描写が素晴らしい。

 もう数週間前になるが、このズームレンズを初めて手にして撮ってみたとき、そのずば抜けた解像描写力に、うっ、と唸ったまま絶句してしまった。描写性能には自信があります、と受け取るときにオリンパスの人に言われたけど、撮ってみて、なんじゃこれは、いったいどうしたんだ…というのがファーストインプレッション。
 少しエッジ処理が気になることと、やや線の太い描写が特徴だけど、いやそれにしても、めちゃくちゃ"わかりやすい"高画質描写だ。誰が見ても、うわっ凄い解像力だっ、と瞬間に感じるに違いない、そんな描写。




 とくに近距離の描写が際立っている。数あるズームレンズ中で、こんなに近距離描写に優れているものはめったにない。最短撮影距離はズーム全域で70センチ。約1.5メートルから至近距離までの写りがいい(もちろん他の撮影距離でもいいのだけど)。
 近距離での描写がいいのは、ズームレンズではおそらく初の近距離収差補正機構(フローティング機構)を採用しているからだ。ズームレンズでフローティング、それもリニアモーターの一種であるVCM(ボイスコイルモーター)を使って電気的に2群レンズを微細にかつ高速に制御するという「とんでもない離れワザ」をやっているからだ。

 カム式のフローティング機構は単焦点レンズでは古くから採用されているが、電子式制御で、なおかつズームレンズでのフローティング機構となると制御的に難易度が飛躍的にアップする。二次元的処理が三次元処理になったようなものだともいわれている。
 ズームしたときの画角とピントを合わせる距離で収差を最小限にどどめるように、設計値通りにAF用の2つのレンズ群を動かしピタリと止めなくてはならない。ぼくのようなレンズ設計やAF制御機構に不如意なものでも、凄いなあ、と感心することしきりだし、実際に撮ってみて、その効果てきめんをはっきりと実感した。

 オリンパスではこの新しい電子制御式のフローティング機構のことを「デュアルVCMフォーカスシステム」とよんでいる。

 もともと、レンズは「ある距離」にマトを絞ってそこの描写性能を高めていく設計をする(そうせざるを得ない)。まんべんなくどの撮影距離でも均一な高画質というのは(厳密に言えば)不可能。一般的にだけど、だからどうしても近距離、至近距離あたりの描写が犠牲になる。それを解決するためにこの40~150mmF2.8ズームでは、難易度の高いデュアルVCM方式を採用して、結果的に"優れた単焦点レンズなみ"の描写力を持ったズームレンズに仕上げたわけだ。
 大袈裟な言い方でなく、ごく当たり前の単焦点レンズの描写と比べれば、はるかに40~150mmズームレンズの描写のほうがいい。そんなズームレンズだ。おすすめ度100。