シグマの「最短撮影距離」について

シグマ・dp3 Quattro

 dp3 Quattroが好きな理由は(DP3 Merrillもそうだが)、75mm画角相当のレンズにしてはそこそこの近距離撮影ができることだ。
 レンズが「眼」の代役を果たすには、自分の眼と同じく遠くの景色から指先まで自由自在にピントが合わせられることがひとつの条件。撮影距離範囲(無限遠から至近距離までピントが合わせられる距離)が広いほど気分よく撮影ができる。人間の眼は年ふるに従って至近距離の測距性能が低下して、ナニかとストレスが溜まる。つまり遠距離も至近距離も区別なくスムーズに見える(ピントが合う)ということは大事だということ。

 さて、写真レンズはというと、望遠レンズでも広角レンズでも、だいたいの目安として至近30センチぐらいまでピントが合わせられれば文句はない。大満足。
 で、dp3 Quattroはというと、最短撮影距離が22.6センチ(スペック表によると)。




 ただし、そのdp3 Quattroがカタログなどに記載している「最短撮影距離」はセンサー面から被写体までの距離である。レンズ固定式カメラでは(ぼくが知っている限り)シグマのカメラだけ。
 通常一般に、レンズ固定式カメラではレンズ先端から被写体までを最短距離という。センサー面からの最短距離はレンズ交換式カメラの場合だけだ。これはムカシからの暗黙の約束ごと。ところがシグマのカメラ(dpまたはDPのシリーズ)は、レンズ交換式カメラと同じくセンサー面からを最短撮影距離としている。シグマがなぜ、そうしているのか理由がまったく不明。

 さらにヘンなのは、カタログやスペック表には最短距離がセンサー面からなのかレンズせんたんからなのか、その説明(付記)がまったくない。CIPA(カメラ映像機器工業会)のカタログ表記のガイドラインには最短撮影距離の定義と表記方法が記載されている。
 最短距離をどちらの測距方式でやって記載してもかまわないのだが、「測距方式」は必ず明記するように「指導」している。でも、シグマはそれもムシしている。
 ついでで思い出したことだが、シグマのカメラの使用説明書には索引ページがない。そこそこのページ数のカメラ使用説明書で、索引ページがないのはタイヘンに珍しい(だからめちゃくちゃ使いづらい)。

 このへんが、シグマの鷹揚さというかアバウトなところというか、呆れたところというか。ぼくは古くからシグマのそうした「姿勢」が好きで、だから大きな小さな不満はあれこれあるけどいまだにカメラやレンズを使い続けているというわけだ。