黙って二歩前に出て写すレンズ

キヤノン・EOS 5D Mark III+シグマ・24mmF1.4 DG HSM

 春になると、都会のど真ん中を歩いていても、細い裏道の交差点を曲がったとたん花畑に出会うことがある。畳2枚ぶんぐらいの小さなスペースだけど、そこだけが別世界、まるでおとぎの国のようだった。広角レンズでぐんっと近づき、ファインダーの中を花畑だけになるようにフレーミングして画面内をじっと見つめていると花畑はさらに広がっていく。




 24mm画角を自在に使いこなすのは、これが意外に難しい。コツと注意が必要。28mm画角は、こういっちゃなんだけど写真が初心の人でも、使いこなすことはそれほど難儀ではない。しかし24mmとなると、とたんに広角特有の遠近感(パースペクティブ)が強く目立ってきて、肉眼で見ているよりもずっと、手前のものは大きく、遠くのものは小さく写る。さらに、ものカタチが大きく傾いて写ったり、球が楕円にたわんで写ったりする。

 24mm広角レンズの使いこなしのポイントのひとつは、その広角歪み ━━ ここでいうところの「歪み」はディストーション(歪曲収差)ではない、パースペクティブ歪み(台形歪み)やディフォルメーション歪み(たわみ)のこと ━━ を目立たなくするか、逆に、思い切って強調して画面を構成するかだ。いちばんイケナイのは広角歪みを中途半端にほったらかして画面構成してしまうことだ。

 フレーミングしたあと画面の周囲はよほど慎重に見回しておかないと、撮影者の意図していない邪魔モノがどしどし写り込んでくる。広角レンズになればなるほど、邪魔モノは容赦なく画面内に入り込んでくる。それを思い切ってカットする。
 広角レンズを使ったら、つべこべ言わずに黙って二歩前に出て写せ、といわれるのはそういうこと。

 このシグマの24mmはF1.4という大口径。ややもすると、24mmもの広角レンズになればパーンフォーカスになってぼけが目立たなくなると考えがちだが、F1.4の大口径ともなれば24mm広角でも甘く見ちゃいけません。2メートルぐらい離れても24mmF1.4開放絞りで撮れば、ピントを合わせたところ以外はかなりぼける。高画素デジタルカメラを使えば、画像サイズは大きくなりぼけはもっと目立ってくる。

 そのぼけが画面を柔らかく包み込んだような描写にしてくれる。シグマ24mmレンズが開放絞り付近で撮ると描写が甘いと感じるのは、わずかなぼけ味がなせる技なのだ。とうぜんだが、ぼけが目立たない絞り値まで絞り込んだり、遠くの景色を写せばとたんにシャープで切れ味の良い画像になる。

 というわけで、本日は24mmF1.4使いこなし講座でした。