たった1mmのキヤノンの大きな決断

キヤノン・EOS 5D Mark III+EF11~24mmF4L USM

 この11~24mmF4ズームレンズは約43万円もする高価なレンズだが、たぶん、キヤノンとしてはこのレンズで「儲ける」つもりはあまりない。
 11~24mmF4レンズのスペックや、実際に手にして、その仕上げをみればわかることだが、43万円の価格では設計開発の費用や製造にかかわる費用などを考えれば決して儲かるレンズではない。




 キヤノンのレンズ製造部門は ━━ 正しくはキヤノン株式会社の中のイメージコミュニケーション事業本部のICP第一事業部という、ちなみに第二事業部はカメラボディの製造部門で、レンズ部門を「第一」にしたのはカメラはレンズがあってこそ、との強い思いがあってそう決めたそうだ ━━ そこには古くから「レンズ開発の4つの柱」があるという。

 1つめ、プロの使用に耐える高性能なレンズを開発製造すること。2つめ、多くのユーザーに魅力を感じて使ってもらえる手頃な価格のレンズを開発すること。3つめ、ISや回折格子レンズなど先進の光学技術を開発すること。そして4つめは、儲けにこだわらないでEOSのシステムを高め広めることを優先させてレンズを開発すること。だいたいこのような内容だった。正確にメモしていなかったので、やや曖昧だけど。

 これら4つの柱のベース(キヤノンのレンズ商品戦略の基本)になっているのは「世界一、世界初をめざす」というもの。そんなことも、レンズ開発の本部長(岡田さん)が胸を張ってい言っていた。
 11~24mmF4レンズは、そう、いま述べた4つの柱のうち、第4番目の、EOSシステムを拡充するための「儲からない」レンズにあたるというのである。

 ところで、当初は「12~24mmF2.8」ズームも候補にあったらしい。
 シミュレーションをしてみたら、11~24mmF4とほぼ同じ大きさ、同じ価格でF2.8大口径の12~24mmを作ることができたらしい。
 12mmからのズームにしてF2.8をとるか、11mmを優先させてF4で我慢するか、そこでさんざん悩んだすえに、結局「世界一、世界初をめざす」というキヤノンの理念を大切にしようと腹を括って11~24mmF4に決めた。そんなことも本部長が言っていた。12~24mmは、前回のブログでも述べたけれどシグマからすでに出ている。

 たった「1mm」のことではあるが、そこにキヤノンのレンズ作りのこだわりが見え隠れしておもしろい。そんな話や、もっと興味津々なレンズの話を、先日、たくさん聞かせてもらった。