注目すべき良質なレンズだ

富士フイルム・X-T10+XF16mmF1.4 R WR

 このXF16mmF1.4は35mm判換算で24mm画角に相当する。F1.4大口径のレンズ。手ぶれ補正の機構は備わっていないので描写性能最優先型レンズとでもいえるだろうか。

 富士フイルムのXシリーズ用交換レンズには、高級タイプの「XFシリーズ」と、レンズ本数は少ないが普及タイプの「XCシリーズ」がある。XFシリーズは金属鏡筒、XCシリーズの鏡筒はプラスチック。
 XCシリーズのレンズは普及版だから、写りはそこそこか、と言えば、いやいや決してそうではない。"そこそこ以上に"よく写る。高級タイプの ━━ という言い方がいいのかどうかは別にして ━━ XFシリーズレンズのほうは、とうぜんXCレンズよりもさらに良く写る。XFレンズの性能は安定していて、こと描写性能についてはどのレンズもハズレがない。




 ぼくは長い年月、いろんな種類のレンズをたくさん使ってきたが、ここ数年、出てくるレンズの描写性能が大変に良くなってきていることに、いま感心し続けている。一部の、やや低価格のズームレンズの中には、うーむこれは…と少し残念なものもなくもないが、でも、それでも数年前の同クラスのズームレンズに比べれば格段に良くなっている。
 なかでも、最近の単焦点レンズは、どれも描写性能がほんと良くなってきている。
 というわけで、こちらのXF16mmF1.4も、じつに素晴らしい描写のレンズなのだ。

 とにかく写りがシャープ。どちらかというと線の細い描写で、コントラストもほどほどにある。だから見た目の解像感がとっても高い。「ちょっとシャープすぎるかな…」と贅沢な文句も出てきそうなぐらい解像感ばりばりの描写だ。さらに画面中心部から周辺部まで描写が均一で破綻がない。いま、もっともっと注目してもいいレンズだ。

 最短撮影距離は15センチ。実際の最短は約14センチあたりまで近づけるのだが、その時のレンズ前面から被写体までは約5センチぐらいになる。
 通常の撮影レンズは近距離になるほど収差が目立ってきて描写性能が低下する。その近距離収差を目立たなくするのは厄介でコストもかかる。そのため、至近距離をできるだけ遠くにしてラクをしようとする傾向もなくもない。

 収差を目立たなくして至近距離をより短くするにはフローティングフォーカス方式を採用することがもっとも効果的。ピント合わせのとき移動レンズ群をふたつに分けて、それぞれ最適に前後させてフォーカスする。これを近距離収差補正機構ともいう。
 このXF16mmもフローティング方式を採用することで、14~5センチの至近距離でも優れた描写性能を確保している。近距離でのぼけ味も大変にナチュラルだ。