嗚呼、なんちゃって4K動画

ニコン・Nikon1 J5+1 NIKKOR VR10~100mmF4~5.6

 ニコンのデジタルカメラでは初めての4K動画撮影ができるカメラ。
 ところがこの4K動画、あれこれ「残念」なところがあって、ニコンがいま、なぜこんな中途半端な4K動画機能をカメラに搭載したのだろうか…。
 良いように解釈すればニコンの「脱兎のチャレンジ精神」 ━━ 満を持して、なんて悠長なこと言ってられないからね、ニコンもいまは ━━ ということになるが、もしユーザーがニコンの4K動画撮影に期待してこのJ5を購入したとしたら、相当がっかりするに違いないだろう。

 以下、J5の4K動画撮影の機能についてだけ悪口を言うけれど、静止画撮影の機能に限って言えば素晴らしいカメラだとぼくは思っている。そもそもNikon1というカメラそのものがぼくは大スキなんだけどね。




 J5の4K動画の残念なところは三つある。
 一つめは、4K動画の撮影フレームレートが15fpsしかないこと。フルHDの動画のほうは最大で60fpsで撮影できる。今どき15fpsなんてフレームレートじゃあ、動きの速い被写体を写したりすれば古いチャップリンの映画のように見える。
 実際、同じシーンを4K動画の15fpsとフルHD動画の60fpsで比べてみると、動画撮影中のスルー画像を見ているだけでも15fpsの4K動画は、まるでパラパラ漫画のように動きがぎくしゃくしている。

 二つめの残念な点は、フルHDモードから4Kモードに切り替えたとたん、突然、画角が狭くなる。ズーミングもなにもしていないのに、フルHDから4Kに切り替えただけで、まるでクロップ撮影しているように望遠画角になってしまう。
 1インチ(2081万画素)のセンサーから4Kサイズ(3840×2160ピクセル)の動画を作り出すのはJ5にとって処理の負荷が大きすぎる。使用する画素を制限せざるを得なかった、ということらしい。ちなみに、フルHDでは1インチセンサーのすべての画素を使って、それをリサイズしながら1920×1080ピクセルの動画画像を作り出している。

 三つめの残念は、J5で撮影した4K動画を鑑賞するのにあれやこれやの制限があることだ。4K対応のテレビでJ5の4K動画を見ようとしてもそれはできない。J5と4K対応テレビとをHDMIケーブル接続しても4K動画を見ることができない。こちらの注意書きに、こっそりと書いてあるように、4K動画は強制的にフルHD動画になってしまう(このとき、15fpsは30fpsに「水増し」される)。
 もし、J5の4K動画を4K画質で鑑賞しようとするなら、4K対応のパソコンとディスプレイを使って、そのパソコンにニコンの専用動画ソフト「ViewNX-i」をインストールして、それの環境で使用するか、あるいはQuickTime Playerを使うしか方法しかないようだ。

 4K動画モードを選んだだけで画角が変わることといい、貧弱な15fpsといい、4K動画の鑑賞の制限といい、J5の4K動画はなんだかとても中途半端に思える。そもそも、静止画を写すことがメインのカメラに(4K動画を否定するわけでは決してないが)、いま、それほどまで無理をして4K動画の機能を搭載しなければならなかったのだろうか、そのへんがよくわかりませんです、ぼくには。