『カシオが考える、あるべきデジタルカメラ像』

カシオ・EXILIM EX-ZR3000




 カシオ初の、というよりも一般向けの初のデジタルカメラである「QV-10」が発売されて今年でちょうど20年の節目となる。1995年3月に約6万5千円で発売され、爆発的に売れ続けた。このQV-10の発売をもってデジタルカメラがスタートしたと見る人も多い。
 そのころもいまも、カシオはすなわちカシオ計算機株式会社で、キヤノンやニコのようにカメラについての歴史も伝統ないメーカーだったわけで、だから当初カシオは「カメラ」を作ってやるぞという意図はあまりなかったようだ。レンズと液晶モニターを内蔵し、写真画像が撮れて、その場で写した写真を見て愉しめる新しい道具を作っただけで、それが「たまたまカメラのようなもの」だったというだけみたい。これが当時、QV-10のコンセプトを説明するために作った資料の1ページ。7~8ページの簡単な資料だが、いま読むとめちゃくちゃおもしろい。

 カシオはデジタルカメラに対する「スタンス」が他の既存のカメラメーカーとはだいぶ違っていて、そこがカシオのおもしろいところだったのだが、QV-10の爆発的売れ行き以降、少しづつ既存カメラメーカーとの違いが薄まっていって「カメラ欲」が出てきたようで ━━ カシオの人たちは、いやそんなことはない、と言い張るだろうけど ━━ 溌剌としていたカシオらしさが、いま、あまり感じられなくなっている。だから、いまこそ、初心にかえってみてはどうかと思うわけですよ、とエラそうな物言いになってしまいましたけど。

 とは言うけれど、やはりカシオはカシオ。根っこの部分で既存カメラメーカーや既存の大手家電メーカーとは「デジタルカメラ」に対する考え方が違うように感じる。たとえば、中国などアジア圏で大人気の自分撮りに特化したカメラ(国内では販売していないTRシリーズ)などは、いかにもカシオらしいカメラで、ぼくは少し違った意味でQV-10の再来かとも思う。そのへんをもっと生かせばいいのに、そうすればカシオは再び、あっと驚くような「カメラ」が作れるのではないかと思うよなあ。

 ところで、少し前のことだけど、カシオがQV-10発売20年を記念してセミナーを開催した。そのときに、カメラ事業部(QV事業部)のトップである中山さんが、カシオはデジタルカメラについてずーっ古くから、こういうことを考えながら製品作りをしているんだという話をした。これが実におもしろかった。「カシオが考える、あるべきデジタルカメラ像」とのタイトルで以下のような内容。詳しい解説は省略するが、ま、じっくりと読んでみるといいでしょう。中にはすでに可能となっているものもある。

(1) 静止画と動画のボーダーレス化
 ・すべて動画で撮影
(2) 自動認識化
 ・シャッターレス → 最適な1枚をカメラが自動選択
(3) 完全Digital化
 ・光学ズームレンズレス → 超広角単焦点、1億画素/単焦点デジタルズーム
 ・光学手振れレス → デジタル補正
 ・ストロボレス → 高感度十NR+HDR
(4) ネットワーク化
 ・メモリーレス

 カシオはレンズもセンサーも作っていない「カメラ」メーカー。そこをよく考えながらこれから「新しいデジタルカメラ」を作っていきたい、というようなことも中山さんは言っていた。中山さん、期待していますよ。