小姑が居るメーカーと、小姑の居ないメーカー

ソニー・α7R II + Distagon T* FE35mmF1.4




 α7R IIはα7 IIと同じセンサーシフト方式の手ぶれ補正機構を採用している。センサーを宙に浮かせたフローティング方式なので5軸方向の手ぶれに対応できる。上下左右の角度ぶれが2軸、上下左右の平行ぶれが2軸、そして回転ぶれが1軸で、計5軸方向の手ぶれを補正することができるというもの。
 CIPA準拠で「4.5段」ぶんの補正効果があるという。α7 IIも同じ数値。しかし、これホントかな? というのが実写してみたぼくの印象だった。
 「4.5段」はちょっと言いすぎじゃないかなあ。α7 IIのときもそうだったが、今回もα7R IIでさんざんテストしてみたが、どうひいき目にみても「約3.5段」がせいぜい。CIPA準拠と但し書きがあるということは、サバ読んで数値を"水増し"することはできないはず。うーむ、ソニーの不思議。

 使用したDistagon FE35mmF1.4レンズとα7R IIの組み合わせでも、さっぱり不可解なことがあった。
 Distagon FE35mmF1.4には絞りリングが設けられていて、1/3EVステップで絞り値を設定することができる。ところが、α7R IIボディに表示される絞り数値が1/3EVステップ刻みではない。「F1.4」 → 「F1.6」 → 『F1.7』 → 「F2.0」…と表示されるのだ。
 これはおかしい。ほんらいならば「F1.7」ではなくて「F1.8」でないといけない。「F1.7」はF1.4から1/2EV絞り込んだときの絞り数値で、「F1.4」 → 「F1.7」 → 「F2.0」となるからだ。昔からそうしたキマリになっている。
 では、FE55mmF1.8をセットして開放F1.8にしたときどうなるかというと、なんと、α7R IIはなにごともなかったように「F1.8」と表示する。しかしながら、FE35mmF1.4レンズを2/3EV絞り込んだときは、なぜか「F1.7」と表示される。じつに気味悪い。

 そこでソニーに聞いてみた。これ、どういう意味なんでしょうか?、と。

 ソニーの回答は、「表示システム上の都合でF1.7を使用している」と。これだけ。
 ではFE35mmF1.4レンズを使ってα7R IIに表示される「F1.7」は(レンズの絞りリングはF1.4開放から2ステップの位置にある)、このときの実質的な絞り値は? と再質問したら、いともあっさり「F1.8です」と回答した。
 表示は「F1.7」だけど、実際の絞り値は「F1.8」らしいのだ。いや、それオキテ破りだよ。

 ほら、レンズの絞りをここにセットすると「F1.8」ではなく「F1.7」と表示される。いやあ、こりゃあないよなあ。そんな大胆な、アバウトなカメラは他社では見かけないぞ。「システム上の都合で」なんてアッサリとかたづけられちゃ困るよなあ。ぶつぶつ…。

 しかしいっぽうで、手ぶれ補正の補正段数も、このF値表示も、「コマかいこと気にしないのッ」と、お大尽ふうで、若々しくのびのびした、いかにもソニーらしい社風がα7R IIを使っていて感じられたのも事実。
 ニコンやキヤノンといった古くからのカメラメーカーには、お目付役のような古手の"小姑"がたくさん居る。「手ぶれ補正の効果段数が1段ぐらい違ったっていいじゃないの」とか、「F値の実際と表示が1/4EVぐらい違っても撮った写真にそれほどの違いが出てくるわけではないよ」、なんてことは小姑たちが許してくれそうにもない。
 でも逆に、古いしきたりを大事にする口うるさい小姑が居なければ、新しい技術にもなんの気兼ねもなくチャレンジできるという"良い面"もなくもない、かな。

 さて皆さん、どちらのほうがいいですか?