レンズ内手ぶれ補正方式の将来

ニコン・D750 + AF-S NIKKOR 24~70mmF2.8E ED VR




 この24~70mmF2.8は約8年ぶりのモデルチェンジ。
 約8年前といえば、ちょうどニコンD3が発表発売になったときと同じ時期で、さらに同時に14~24mmF2.8G EDも発表発売になっている。14~24mmF2.8超広角ズームに比べると ━━ 14~24mmの描写の良さばかりが脚光を浴びて ━━ 24~70mmのほうは少し「地味」な印象の標準ズームレンズだった。
 その当時の他社のF2.8標準ズームレンズに比べて、スペックも描写も際だって良かったというレンズでもなく、別に悪いところはまったくなかったのだけどオーソドックスな"当たり障りのない"レンズだった。もし8年前の、その24~70mmF2.8に手ぶれ補正の機構が搭載されていたら評価はだいぶ違ったものになっていただろうと思う。

 というわけで、今回モデルチェンジされた新型24~70mmには手ぶれ補正(VR)が搭載されている。CIPA準拠で4段ぶんの補正効果があるという(焦点距離70mmのとき)。
 手ぶれ補正が入ったことで旧型に比べると撮影領域は「飛躍的に」広がった。いままでなら「ぶれてしまいそうだから」という心配が先にたって諦めてしまうようなシーンでも積極的に撮影しようという気にもなる。描写性能の良いレンズであればあるほど、ほんのわずかなぶれが大きく影響してしまうからだ。

 レンズ内に手ぶれ補正の機構を組み込めば、光学性能にもレンズの大きさや重さにも影響は少なからずある。
 描写性能について言えば、ぶれ補正のためのレンズ群がシフトする(動く)ために理想的な光軸がずれてしまう。わずかだとはいえ偏心するわけだから良いはずはない。
 むろん、描写性能を落とさないような光学設計がされてはいるだろうけど、でも限界はある(と、思う)。大きなぶれを補正しようとすればするほど補正レンズを動かさなくてはならず偏心も大きくなる。レンズ内手ぶれ補正方式はこれからの高画素、高精細画質の時代にきちんと適応させるのはだんだんと難しくなってくるのではないだろうか。

 もしも、この24~70mmズームに手ぶれ補正の機構を搭載せずに、この大きさ、この重さ、この価格を許容するとしてレンズを設計し作っていれば、いまのニコンの光学設計技術とレンズ製造技術をもってすれば、おそらく「うおっ」と驚くような素晴らしい描写のレンズを作ることができたのではないかと、ぼくは愚考するわけですよ。
 さまざまな技術の進化により画質への影響は少なくなっていくだろうけど、やはり行き着くところはボディ内手ぶれ補正ではないだろうか。
 いや、だからといって、レンズ内手ぶれ補正なんかイラナい、ナクなる、なんてむちゃくちゃな話をしているわけではないですよ、言っときますけど。