滲みのあるぼけ、滲みのないぼけ

オリンパス・OM-D E-M1 Mk2 + M.ZUIKO DIGITAL ED45mmF1.2 PRO

 オリンパスはこのED 45mmF1.2 PROレンズの製品特徴のトップに『ボケの質と高い解像力の両立に徹底的にこだわった描写性能』を挙げている。
 従来までは、美しいぼけと高い解像描写力とを両立することは大変に難しい、と言われつづけてきたことを考えれば"画期的"とでも言っていいのかも。

 解像力のあるレンズを設計するには(ひとつの方法として)もろもろの収差をなくせばいいわけだが、ことはそう簡単ではない。加えて収差のないレンズ(無収差レンズ)を作ったとしても解像描写力は高まるがいっぽうで「美しいぼけ」を得られにくくなる。ぼけの輪郭部がくっきりとしてぼけ部が目立ってくる(似てはいるが二線ぼけ、リングぼけではない)。
 いわば「図々しいぼけ」になってしまう。

 この「図々しいぼけ=目立つぼけ」のレンズにしない方法として、おもにふた通りのやり方がある。
 ひとつめは、球面収差を(わずかに)残した設計をする方法。球面収差を微妙に、絶妙に残すことでぼけを柔らかく美しくできる。
 ただしこれには難点が2つあって、解像力が少し低下してしまうことと、後ぼけを自然で美しくすると反対に前ぼけのほうが美しくぼけてくれないこと。前ぼけ優先か後ぼけ優先か、どちらかになる。




 解像力を低下させないで、かつ前ぼけも後ぼけも美しいぼけ味にするにはアポダイゼーションフィルターを使う方法がある(これがふたつめの方法)。
 アポダイゼーションフィルターをレンズ内に組み込むことで輪郭部のくっきりとした図々しいぼけを強引にぼかしてほんわりと柔らかなぼけにする。解像力もそれほど低下させずに前ぼけも後ぼけも同時に美しいぼけ味にすることができる。

 しかしこの方法には大きな欠点があって、それは実効F値が低下してしまうこと。FナンバーとTナンバーの「差」が大きくなるため、とくに単独露出計を使ってマニュアル露出で撮影するときに正しく露出補正をしなければならなくなる。
 実効F値が低下することはイイとしても、解像力に影響しない高精度なアポダイゼーションフィルターを作るのもそうそう簡単なことではない。

 いやあ話がくどくなって申し訳ないです。
 ぼけの話は説明すればほんと難しくなるのです。もう少しがまんを。

 アポダイゼーションフィルターを採用しないとすれば残された方法は、ひとつめの話に戻りますが、球面収差を残しつつ上手に収差コントロールして解像力の低下を最小限にとどめながら美しいぼけ味のレンズに仕上げること。
 その方法で優れた解像力と美しいぼけを両立させたのが、そう、オリンパスの45mmF1.2 PROレンズだというわけだ。このED45mmF1.2 PROレンズと同じように解像力とぼけ味を両立させたレンズは、それ以外に最近、(ぼくが知っている範囲で)1~2本ある。

 ところで先ほどから「美しいぼけ」と言っているが、じゃあどんな「ぼけ」が美しいというのかと言えば、オリンパスがこの45mmF1.2 PROレンズで初めて言い始めた「滲みのあるぼけ」がそうだ。柔らかく自然なぼけ。逆に「滲みのないぼけ」はぼけがくっきりと目立って固くなり、図々しいぼけになる。

 この2枚の写真を見てほしい。
 左が固くて輪郭部のくっきりして滲みのない「図々しいぼけ」。某メーカーの某レンズ。右が45mmF1.2 PROの滲みのある柔らかな「控えめなぼけ」。センサーサイズは異なるが、どちらも同じ画角、同じ位置にピント、絞り値も同じF1.2。(追記)比較画像は部分トリミング。

 ところで、ここで困ったことがあって、ぼけとかぼけ味については好き嫌いが大きく影響する。固くて図々しいぼけが「好き」という人がいるし、そうしたぼけを積極的に作画に生かす人もいることだ。滲みのあるぼけが柔らかく美しいと評価する人とは逆に、ぼけの存在感がなく頼りないと「嫌う」人もいる ━━ 最近、多数派はこちらの傾向のような感じがしますね。
 つまり、ぼけの描写にかんしては「良い悪い」で決めつけてはいけないということでしょうね。
 せっかくオリンパスはぼけにこだわって、がんばってレンズを作ったのだけどそのぼけの描写具合の「好き嫌い」で逆評価されてしまう可能性もなきにしもあらずですね。難しい・・・。


オリンパス、2本目のF1.2大口径レンズ

オリンパス・OM-D E-M1 Mk2 + M.ZUIKO DIGITAL ED45mmF1.2 PRO

 すでに発売されている「ED 25mmF1.2 PRO」に続く第二弾となるのがこの「ED 45mmF1.2 PRO」である。フルサイズ判換算で90mm相当の中望遠レンズとなる。発売は11月で価格は約14万2千円(オリンパスオンラインショップ、税込み)。発売前から予約注文が殺到したそうで発売後しばらく経過しても、まだ手に入れるまでに数週間かかるようだ。

 続いて第三弾めとなる大口径PROレンズとして「M.ZUIKO DIGITAL ED17mmF1.2 PRO」も同時に発表されたがこちらは来年2018年1月末に発売予定。価格は45mmF1.2レンズと同じ。




 この45mmF1.2 PROは使ってみれば(誰でも)すぐにわかることだが、とにかく素晴らしい解像力、ぼけ味、優れた描写力のあるレンズだ。

 いきなりだが、しいて"欠点"をいえば特定条件での逆光でゴーストがでてくることがあることか。けれど逆光だといつも出るというわけでもないし(特定条件にハマれば出るが)ゴーストは出たとしてもフレアはほとんどない。だから充分にヌケは良いしコントラストもある。描写は開放F1.2から、とにかくシャープである。

 そしてもうひとつ、欠点(というか、弱点と言ったほうがいいかな)がある。それは撮影シーンと撮影条件によって軸上色収差がほんの少し目立つこと。
 しかしこちらの弱点は大口径の望遠系レンズでは、とくにF2.8よりも明るい大口径レンズでは多かれ少なかれある。軸上色収差を完全に消すことは光学設計上、大変に難しいといわれている。さらに軸上色収差は倍率色収差の補正のように比較的簡単に撮影時に補正ができるというものではないらしい。ただし軸上色収差は絞ればだんだんと目立たなくなる。

 そういえば、たとえばペンタックスのカメラではカメラ内RAW現像の機能に「フリンジ補正」という処理モードがある。RAW撮影に限るのだがカメラ内RAW現像時に機能ONして処理してやれば倍率色収差(らしきもの)はキレイに消えるという便利機能 ━━ ただしこのフリンジ補正はちょっと「麻薬的」なところがあって効果覿面なのだが使用する側の「体質」によっては副作用がでることもあるようだ ━━ 。
 それはさておき、オリンパスもそういった気の効いた補正機能が(撮影後の処理でも充分だから)あればいいのだけど、いまはまだない。

 いずれにしてもこの45mmF1.2 PROの「弱点」であるゴーストも軸上色収差も、限定した撮影シーンで、気にすれば目立つかな、という程度で目くじらを立てて「欠点だ」と騒ぐほどのこともないとぼくは考えいるが、どうなんだろうか、やはり気にする人はいるんでしょうかねえ。
 優れた解像描写力と階調再現性、ほどよいコントラスト、そして美しくナチュラルなぼけ味こそが、この45mmF1.2 PROレンズの大きな魅力であって、小さな2つの「欠点」のほうはほとんど気になりませんでした。

 くどいけどほんと良いレンズです。 ━━ ごくごく個人的な使用印象を言えば、F1.2開放時の描写は、F1.2 PROシリーズの第一弾レンズであった25mmF1.2 PROよりもこちら45mmF1.2 PROのほうが"だいぶ良い"という印象でした。F1.2開放絞り値から描写性能については気兼ねなく使えますが、ただし正確なピント合わせには細心の注意が必要です。このへんの話はおいおいと・・・。

マイクロフォーサーズのカメラで使う贅沢

シグマ・16mmF1.4 DC DN Contemporary + オリンパス・OM-D E-M1 Mk2

 シグマ16mmF1.4 DC DNレンズにはマイクロフォーサーズ用もある。それをオリンパスやパナソニックのカメラで使うと画角はフルサイズ判換算で32mm相当となる。

 この16mmレンズに近いスペックのマイクロフォーサーズ用レンズとしては、オリンパスにはM.ZUIKO DIGITAL 17mmF1.8(34mm相当、約5万1千円)とM.ZUIKO DIGITAL ED 17mmF1.2 PRO(約14万円、来年1月発売予定)がある。パナソニックにはLEICA DG SUMMILUX 15mmF1.7 ASPH.(30mm相当、約5万6千円)などがある。

 ちなみに、ぼくがレンズのスペックで重要視する1つ、最短撮影距離はシグマが25cm、オリンパスF1.2が20cm、同F1.8が25cm、パナソニックが20cmといったところでほぼ横並び。




 というわけでオリンパスのE-M1 Mk2と、「シグマ16mmF1.4」、「オリンパス17mmF1.8」、そして「17mmF1.2 PRO(ベーター版)」の3本のレンズを同時に使ってみたが、シグマ16mmレンズは(あの価格のわりには)なかなかの描写性能があると大いに感心した。

 17mmF1.2 PROレンズは、やはり14万円もするレンズだけあってぼけ味もふくめてその描写は豪華絢爛。開放F1.2から解像力、コントラストともずば抜けて素晴らしいものだった。でも、シグマ16mmもよくがんばっていて開放F1.4でこそわずかにコントラストに物足りなさを感じるけれど絞り値半段から1段ほど絞り込めば切れ味はぐんと良くなり、価格で3倍近くもするオリンパス17mmF1.2 PROレンズの描写に近くなる。

 価格がほぼ同等のオリンパス17mmF1.8レンズほうと比べると(こう言っちゃナンだけど)文句なしにシグマ16mmF1.4レンズが良い。17mmF1.8の中央部の描写はそこそこなのだけど周辺部の描写が(シグマ16mmF1.4開放の画像と比べると)だいぶ甘く見える。

 シグマ16mm開放F1.4での周辺部描写がイイのは、もともとAPS-C判のイメージサークルをカバーするぶんだけあるのにそれよりも小さなマイクロフォーサーズ判用に周辺部を「切り取って」しまっているわけだからその写りは余裕綽々になるのも当然か。贅沢というかモッタイナイというか。ともかく周辺描写にうるさい人でもF1.4開放絞り値から使えるレンズだと思う。

 ただしオリンパス17mmF1.8レンズと、シグマ16mmF1.4レンズの大きさを比べると横綱と序二段ぐらいの差がある(あくまでサイズ比較)。オリンパス17mmF1.2 PROレンズとは大きさはほぼ互角。
 これが3本を並べて比較した写。左が17mmF1.2 PRO、真ん中がシグマ16mmF1.4、右が17mmF1.8。

 おれは描写性能最優先だ14万円はなんとか工面するぞという人ならオリンパス17mmF1.2 PROを、色男なのでカネもチカラもないし小さく軽いレンズがなにより良いぞという人はオリンパス17mmF1.8を、やっぱぁ良く写る明るいレンズが欲しいよなあカネはないが体力はあるぞという人はシグマ16mmF1.4レンズを、でしょうか。


ソニーαで使うときはレンズ補正はONに

シグマ・16mmF1.4 DC DN Contemporary + ソニー・α6500

 この16mmは"素のまま=デジタル補正せず"だと歪曲収差と倍率色収差がちょっと目立つ。周辺光量不足はF1.4開放絞り近辺で少しあるようだが ━━ ぼくはもともとそれほど気にならないが ━━ ちょっと絞ればすっと消える。
 歪曲収差はあると言っても軽微なもので碁盤の目状のシーンを撮れば目立つかなという程度だろう。

 でもソニーα6500には、レンズ補正の機能があって周辺光量補正、倍率色収差補正、歪曲収差補正のON/OFFができる。ONはただの強制ONではなくレンズ情報を読み取って最適な補正をするオートON。ディフォルト設定はオートON。
 そのα6500のレンズ補正をON/OFFして撮り比べてみると、ON(オート)にしておくととくに歪曲収差と倍率色収差はキレイに消える。ただし軸上色収差はデジタル補正で消すことは大変に難しくそれは残ったままだけど。

 つまりソニーαシリーズでSIGMA16mmを使うときはレンズ補正はONのままにして使うことをおすすめします。




 ただ一つ、これはデメリットと言うほど大袈裟なことではないが、歪曲収差補正をONにすると実質的な画角がごくごくわずかに狭くなることとブリージング(ピント位置による画角変化)がほんの少し目立つ ━━ もともとブリージングの少ないレンズなのだけど。
 OFFにすると至近距離でも無限遠でも画角変化がなくなる。これなら動画撮影でブリージングを嫌う人でも受け入れられるんではないでしょうか。

 ちなみにマイクロフォーサーズのカメラでは歪曲収差補正も倍率色収差補正もハナからON/OFFの切り替えができずONになったまま。ユーザーには歪曲収差も倍率色収差もあることは気づかない(それがマイクロフォーサーズの基本の考え方)。

 どうしてこんなツマらんことをくどくど述べているかと言うと、通常、シグマやタムロンなどの交換レンズメーカーのレンズはボディ側にレンズ補正の機能に対応してくれない(できない)のが一般的。ONにして使うと不具合が発生することもあるので(とくに最近のキヤノンのカメラでは)シグマもタムロンもOFFにすることをすすめている。

 ところがソニーやマイクロフォーサーズのカメラでは他社製シグマのレンズであってもそのレンズ情報(レンズの素性)をきちんとボディ側で読み取って最適な補正をする。
 マウント情報(レンズとボディとの詳細な情報のやり取り方法)をソニーからシグマ側に伝えられているからだ。ソニーと契約を結べばEマウントの情報を教えてくれるからだ ━━ だだし肝心かなめのところはブラックボックスになっているそうで、あとは「自力」で探っていかなくてはならない(らしい)。
 いっぽう、マイクロフォーサーズではそのフォーラムに入ればマウント情報のすべてが得られる。

 しかしキヤノンもニコンもその他のメーカーも、マウント情報はいっさい外部に出さない。互換レンズを作ろうとすれば手探りでマウント情報を探っていくしかない。MFレンズなら比較的容易だろうがAF対応の最新型互換レンズとなると極めて難しくなる。
 シグマもタムロンもずっと昔から、まだマウント情報がシンプルなMFレンズ時代からきめ細かく対応して互換性のあるレンズを作り続けてきたから、いまのように複雑怪奇なマウント情報になってもなんとか対応できている(ちょいちょい読み誤ってファームウエアの書き換え対応をしているけど)。

 いまこの時代、新しいカメラのマウント情報をイチから探って互換レンズを作るのは並大抵の努力や人力や技術力をもってしても非常に難しいと言われている。
 このシグマ16mmF1.4レンズが、キヤノンEOS Mシリーズや富士フイルムXシリーズの互換レンズがなく、ソニーEマウントとマイクロフォーサーズのマウントのふたつしかないというのはそういう理由のようですね(将来、可能になるかもしれませんけど)。

安いのにこれまた良く写るSIGMAレンズ

シグマ・16mmF1.4 DC DN Contemporary + ソニー・α6500

 ミラーレスカメラ用の交換レンズ。APS-C判のセンサーサイズまでをカバーする。ソニーEマウントとマイクロフォーサーズのカメラ用にレンズが用意されている。
 APS-C判のソニーEマウントカメラでは約24mm相当の画角になり、マイクロフォーサーズカメラでは約32mm相当画角のレンズとして使える。

 このレンズの魅力はF1.4の大口径、最短撮影距離25cm、それと、とても描写性能が良いこと、その優れたレンズ性能のことを考えると価格が大変に安いことだ。
 残念なことは、せっかくAPS-C判センサーをカバーするミラーレス用レンズなのに、キヤノンのEOS Mシリーズや富士フイルムのXシリーズに使える互換マウントのレンズがないことだろうか。
 レンズの価格はシグマのオンラインショップで約4万8千円(税込み)。




 ソニーのAPS-C判Eマウント用交換レンズには「24mmF1.4」のような大口径広角レンズは見あたらない。
 ソニーα6500で使ってみたのだけど、シグマには失礼ながら"予想に反して"じつに良く写る。F1.4開放絞り値でもその描写は(重箱の隅を突くような見方をしなければ)周辺部までほとんど文句なしの描写。ソニーユーザーは要注目のレンズだろう。
 レンズのサイズは、小型軽量のα6500ではやや大ぶりな感じもしないでもなかったが、その写りの良さを見るとレンズの大きさや重さが気にならなくなったほど。

 マイクロフォーサーズ用のこのクラスの広角大口径レンズとしてはパナソニックには15mmF1.7レンズがあるし、オリンパスには(来年発売予定だが)17mmF1.2レンズがあるけれど、どちらのレンズもマイクロフォーサーズのセンサーをカバーするように設計されたレンズ。
 ところがシグマ16mmをマイクロフォーサーズのカメラで使えば、広角レンズとしての魅力は少し削がれるものの、そのイメージサークルは「充分な余裕」があって描写性能が良いとされている中央部あたりだけを使えるという利点がある。

 パナソニック15mmF1.7の価格はシグマ16mmF1.4とほぼ同じだが、オリンパスの17mmF1.2は約14万円とこちらはシグマの3倍近い価格。話が少し横道に逸れるが、そのオリンパスの17mmF1.2レンズ(ベータ版)をしばらく使ったのだけどF1.2という大変に明るいF値のレンズにもかかわらず開放絞り値から画面周辺部まで素晴らしい解像描写力とコントラストがある。撮ってみて驚き、レンズで約14万円という価格にじゅうぶん納得させられた。もし描写に不満を感じたとすれば、「しっかりピントを合わせて撮りなさいね」とアドバイスしたい、そんなレンズ。ピントを合わせてしっかりと撮ればマイクロフォーサーズとは思えないほどの解像感ばりばりの写真が撮れる。

 話を戻す。
 ではシグマ16mmF1.4レンズがオリンパス17mmF1.2レンズに比べて価格1/3ぶんの描写性能しかないかと言えば、いえいえ、決してそんなことはありません。ここがレンズ選びの愉しいところ。約14万円の17mmF1.2レンズと「同等の性能」とは決して言えないけれどシグマ16mmF1.4レンズはその"低価格"で、がんばってよくここまでの優れた性能のレンズを作ったよなあと感心した次第。

 でもやはり、この16mmF1.4レンズはソニーEマウントのカメラと組み合わせて使用するのがイチバンのおすすめでしょう。

GZE-1の動画

カシオ・G'z EYE GZE-1




 GZE-1の基本の撮影スタイルは、カメラ部単体で構図は当てずっぽうで写す。むろん、別売の液晶モニター部や市販のスマートフォンを使えばきちんとフレーミングを確認することはできるが、基本はカメラ単体での撮影のようだ。

 前回のブログのつづきだが、カシオが「GZE-1は構えずに撮るカメラ」と言い切るにはワケがある(以下はぼくの勝手な想像だけど)。
 内蔵レンズの画角は静止画のとき約190度もあり、動画でも約170度もある超ワイドなので、写したいシーンやモノにレンズを向ければ画面内に容易に写し込める。ピントも固定焦点なのであれこれ考える必要もない。
 もうひとつは、正確な構図よりもチャンス優先がこのカメラのメインテーマ。オールラウンドなシーンでダイナミックな表現をしたいのなら構図なんてちまちましたことを考えずに、ずんずんどしどし撮ればいいのだよ、というカシオの提案なのかも。

 「GZE-1は動画撮影中心のカメラ」だともカシオは言っていた。静止画の撮影はオマケだと(そこまでハッキリは言ってないけど)。
 動画の撮影機能はおもしろいものがあったりして種類は充実しているのだが、しかし画像クオリティの点で少しもの足りないところもなくもない。たとえば4K動画はハナから不可、フルHD動画は撮れるが30p、スローモーション動画も撮れるがこのモードを選ぶとVGAぐらいの小さなサイズになってしまう。

 静止画にいたっては約690万画素。使用しているCMOSセンサーの総画素数は約2114万画素もあるというのに。
 いったいどーしてそんなことになるのか。
 動画クオリティのもの足りなさの原因は(これもぼくの想像だけ)防水性能を高めたために処理熱がボディ内に籠もってしまい、そのためパワーが必要とする撮影機能が制限されてしまったからではないか。

 静止画の小さなサイズは、GZE-1を縦位置にしても横位置にしても常に「横位置画面」になるようにセンサー画面の中で実画面を縦にしたり横にしたり切り替えているからだ。無駄と言えばムダなことには違いないが、この方法を採用することでカメラを90度にも180度にも回転して構えても常に"正しい"横位置撮影ができる。