CITROEN DS21 Pallas

キヤノン・EOS Kiss F + EF-S 55〜250mmF4〜5.6 IS
 EOS Kiss Fの発売は日本とアジア、そしてヨーロッパだけでアメリカはいまのところ発売が未定。なぜ、アメリカで売らないのだろうか。このへんがとても興味深い。いずれ時期がきたらアメリカでも売るだろうけれど、あれだけの大きな市場を、さておいて、というのが不思議な感じもしないでもない。
 円高のせいだという人もいれば(相当に低価格で輸出しなければならない)、国内のシェアを、とにもかくにもニコンから奪うことが第一目的だからという人もいる(今年のキヤノンは国内シェアについては“首位奪還”のためになりふりかまわずなのだ)。いっぽうでは、Kiss X2のせっかくの売れる市場をこのFで“喰いあう”んじゃないのかと心配する人(や、楽しみにする人)など、いやはやなにかと話題のカメラですね。


 まだ発売前だけど ―― 今月末の予定 ―― 発表した時には、キヤノンが希望する販売価格が「7万円前後」ということらしい。でも、使ってみた印象では、そりゃあちょっと高い(ように感じた)。たぶん、実販価格は早々にボディが5万円半ばに、標準ズームキットが6万円半ばぐらいに落ち着くのではなかろうか(見方がアマいかな…)。

 Kiss Fのカメラとしての性能や使い勝手、機能がどうのこうのだから、“7万円は高い”と思ったわけではない。Kiss FはKiss X2に負けずとも劣らぬほど良くできている。ごくごくふつーに使っている限りでは、性能的には不満などかけらも感じさせない。備わっている機能も必要にして充分。ところが、ナニかが足りないのだ。
 うーんなんと言えばいいのかなあ、Kiss Fで写真を撮っていても、もうひとつ、わくわくどきどきしないのだ。備わっているあれこれの機能を活用し、チャレンジして写してみようという気持ちにも、あまりならない。当然だけど、撮った写真を見ても、「おおっ、こんなふうに写っていたのか」といった驚きは皆無。ふーんっ、あ、そう、といった感じをよくする。
 なんでだろうか、と、つらつら考えてみたら、「プラスアルファの魅力」が乏しい(ない)からではないかと。これからの、とくに低価格のデジタル一眼は機能、性能一辺倒、ではだめで、機能や性能とは別次元の、もうひとつの「プラスアルファの魅力」が盛り込まれていないと値頃感として高く感じてしまうんではないだろうか。ウマく言えないけれど…。

流し撮りモード

カシオ・EX-F1
 F1は超高速連続撮影の機能やハイスピードムービー撮影の機能ばかりが注目されているけれど、ほかにも、いくつか魅力的な、そして見逃せない(おおいに将来性のある)機能がある。その一つが「流し撮り」なのだ。撮影者は、いちおう被写体の動きにあわせてカメラをパーンしながらシャッターを切る、といった本来の流し撮りの作法をおこなわなければならないが、しかしF1のこの流し撮りモードで撮影すれば、初心者でもヘボでもドジでも(よほどのへそ曲がり的ヘタ以外は)プロ並みの流し撮り写真が得られるというものなのだ。
 高速連写の機能を応用して、瞬間的に複数枚の画像を得て、その中から数枚を選び画像処理をおこなって重ね合わせ、その結果、擬似的な一枚の流し撮りの写真に仕上げるというものだ。擬似的、とは言ったけれどよほど目を凝らして見ないことにはまったくわからないほどの“プロ並み”の流し撮り写真になる。自慢じゃぁないですが、ぼくはそもそもクルマの撮影が専門で、F1(こちらはレーシングカーの)からWRCのラリー車や草レースなどなどで、もうイヤっ、というほど流し撮りをやってきましたから、流し撮り写真については相当にウルさい。そのぼくが、うーんこれは良くできておる、と感心した。


 そこで、「いったい、どんな処理をやっておるんでしょうかねえ?」とカシオに尋ねたんだけど、しかし「あれこれありまして詳細はいっさいお話しできません」と相当にクチが堅い。ま、それはそれでしょうがないよなあ、それを話してしまうと、この先、つぎにカシオがやろうとしていることが見えてくるんだもん。なお、上の写真を子細に見れば、勘のいい人ならどんなことをやっておるのかがわかるはずですぞ。

 流し撮りモードはBS(ベストショット)モードの中の1つ。流し撮りを選ぶと、自動的にシャッタースピードは1/60秒に固定される。つまり1/60秒のシャッタースピード優先AEになる。ほんらいの流し撮り撮影は、(1)被写体のスピード、(2)被写体との距離、(3)被写体の移動する方向、(4)レンズの焦点距離、(5)ブラす量、などを考えて最適なシャッタースピードを選ぶのだが、F1では1/60秒固定。だからゆっくりと動く被写体を流し撮りしても、それほどブレが大きくはならず“動感”が表現しにくい。
 ところが、F1の流し撮りモードで写すと、あら不思議、背景がキレイに流れていかにもスピード感溢れる流し撮り写真になっておるのだ。クルマ、バイク、自転車、走る人、歩く人、昼間、夜間などなどで試してみましたけれで(おもしろいんだよ、これが)、結果は予想以上でしたね。

60コマ/秒の高速連写

カシオ・EX-F1
 すでにご存じのことだろうけど、超高速連写や超スローモーション動画が撮れるカメラとして話題になっている ―― 「いた」かな ―― のがこのカシオのF1。高速処理が可能な600万画素CMOSを活用しての高速撮影機能である。今年末から来年春にかけて、このようなCMOSを撮像素子に使ったカメラがあちこちから出てきて、20コマ/秒や30コマ/秒の高速連写機能なんて、たぶん当たり前、となってくるだろう(むろんCMOSだけじゃなく高速の画像処理チップも必要だけど)。
 このF1はといえば、最高60コマ/秒のハイスピードで600万画素フル画像が記録できる。ただし撮影可能枚数は最大60カットまで。ということは撮影時間はたったの1秒間だけど、しかし、タイミングに合わせてシャッターを押す直前のシーンを記録し続けくれる機能もあるので、ソレを利用すればタイムラグのせいで一瞬のチャンスを逃すこともない(パスト連写機能)。


 さらにハイスピードムービーの機能も、愉しい、すごい、驚き。秒300フレーム、600フ
レーム、そして1200フレームで動画撮影ができるのだ。F1のカタログには「今まで業務用の映像機材でしか撮影できなかった超スロー映像を手軽に記録することができます」と自信満々に書いてあるが、まったくもってその通りだと思う。
 F1の動画は、300フレームの画像が512×384pixelサイズはまあいいとしても、600フレームや1200フレームになると、画面中央部をクロップしてがっくりと小さな画像サイズになり、そのうえパノラマ画像じゃないかとおもわれるような横長の画像になってしまう。使い始めたときにこれには相当に戸惑った。

 ところで、先日、ある新聞のまるまる1ページを使ったF1の広告があったけれど、そこで(たぶん)1200フレーム/秒の“威力”を伝えるためだろう大きな実写写真(水を含ませた風船がわれる瞬間)が掲載されていた。でもどう考えても、1200フレームのあの小さな画像から、いくら新聞の印刷とはいえあれだけのクオリティの高い画質はないだろう…なーんて“大人げない”ことを考えてしまった。とはいえ、いままでに視覚的に経験したことのないようなシーンが手軽に写せて愉しめる。そのことだけでも大変に価値のある「カメラ」だと思う。

ラブ度

富士フイルム・FinePix Z200fd
 「恋するタイマー」とは、それにしてもいいネーミングを選んだもんだ。しかし、その英語表記はといえば、まったくもってどーってことない「カップルタイマー(COUPLE TIMER)」。もし日本語表記でこんなネーミングだったら興味半減、愉しさ半ばだったろうと思う。
 いまのコンパクトデジタルカメラは、ココが大事、ソコがポイントなんですよ ―― 画質がどーの、ノイズがどーの、と、むろんそれをまったく無視するわけにはいかんだろうけど、でもねえ、まるで錐の先で揉み込むようにそんなことばかりに汲々とするようなもんでもないよコンパクトカメラは、ほんと、いまこそもっと大切なものをユーザーもメーカーも見きわめる必要があると思いますよ。コンパクトカメラのイノチは、使い勝手の良さと愉しさとデザインです。


 「恋するタイマー」モードは、基本的には二人の顔をカメラを検知して自動的にシャッターが切れるのだが、その顔の近づき具合(距離)を3ステップの中からあらかじめ設定をしておく。その近づく距離3ステップを「ラブ度」とフジは名付けた。これもウマいネーミングだ。ちなみに英語表記ではディスタンス(DISTANCE)、これじゃ即物的すぎてツマらん。やはり「ラブ度」しかない。
 そのラブ度の3ステップは、「お友達(手をつなぐ距離)」、「仲良し(肩を寄せた距離)」、「ラブ(顔を寄せた距離)」である。ラブ度の距離が近くなるに従ってハートマークが出てくる(おじさんはちょっと照れるけど、まあ、いい…)。たとえば最強の、「ラブ」モードにすると、二人が密着するほどに近づかないとなかなかシャッターが切れない。しいて不満を言えば、シャッターが切れるまでの「演出」にちょっと工夫が足りないことか。ドラマチックな演出まではいらないけれど、もう少しわかりやすく愉しく演出してくれれば、たぶんこどもにも大うけするに違いない。このへんに、フジのカメラ開発者の人たちの“照れくささ”が見え隠れして、笑ってしまう。

 そうそう、Z200fdはカメラとしては、ごくごくまともです。フジのオーソドックス。露出補正はめちゃくちゃ設定しにくい。でも、そんなことはどーでもいいんです。「恋するタイマー」と「みんなでタイマー」の機能がZ200fdの“すべて”。おじさんたちや少しシニカルな若い人たちはばかにするだろうけれど、いやいや、いまイチオシのコンパクトデジタルカメラじゃないかなあ、買ってソンした…と感じないと思いますけどね、愉しめますよ。

恋するタイマー

富士フイルム・FinePix Z200fd
 メチャクチャおもしろカメラだ。ここ数年に発売されたコンパクトカメラの中で、ぼくはダントツに愉しいカメラだと思う。各カメラメーカーのコンパクトカメラ開発担当者は、このカメラを子細に、徹底的に使い込んで、アタマを柔らかくして、今後、どんなことをすべきか、このカメラにナニが足りないのかをよーく検討してみるといいでしょう。

 Z100fdからこのZ200fdになったわけだが、画素数が800万画素から1000万画素に変わったぐらいでカメラのデザインなどはそのまま。しかしZ200fdには顔検出機能を利用したまったく新しいセルフタイマーモードを搭載。これがおもしろいのだ。「恋するタイマー」と「みんなでタイマー」。そのセルフタイマー撮影の機能を使ってみて120%以上愉しみました。ぼくだけじゃなくて、若い夫婦、親子、中年夫婦、オジサンどうしオバサンどうし、恋人どうしじゃない若いもんどうし、などなどの間で、とにかく大うけだった。大ブレーク。
 その、とあるパーティーで、「恋するタイマー」に大ブレークして愉しんだ人たちの写真が(ちょっとゆえあって)紹介できないのがじつに残念だ。


 どんなセルフタイマーの機能なのか、ま、ぜひ自分で試して欲しい。実際にやってみればその愉しさが(ぼくがあれこれ言うより)百倍以上、よくわかると思う。ただし、カメラ屋さんの店頭などで「試写」するのには、他人の冷ややかな視線を無視する勇気と、それを一緒にやってくれる仲間が必要だけど。もし、その勇気がないならこのZ200fdを買ってこっそり二人で試してみるというのもいいでしょうね。きっと後悔しないと思う。

 「恋するタイマー」はカンタンに言えば、自分たち(二人)にカメラを向けただけで顔の近づき具合を自動検知してピントを合わせ露出を合わせて自動的にシャッターが切れるというもの。お互いの顔の近づき度合いをあらかじめ設定できる(3ステップ)というワザを入れ込んでいる。
 でも、よくもまあ、あの、カタブツ揃いのフジのカメラ設計のひとたちの中から ―― 皆んな知らないだろうけど、ほんとカタブツでマジメ一徹おじさんばかりなんですからねフジは ―― こんなにもユニークで斬新で思い切ったアイディアが湧いて出たもんだと感心することしきりであります。ちなみに、この「恋するタイマー」の素晴らしいネーミングは入社数年の若い女性社員だったそうだ。いやしかし、その提案をOKしたフジの担当者の“勇気”に大拍手を送りたいです。