EOS 5Dの“後継”はもっと先かも…

キヤノン・EOS 5D + SIGMA APO120〜400mmF4.5〜5.6DG OS HSM
 たぶん今月発表されるだろうキヤノンの新製品は、5Dの“後継”ではなくて他の機種の“後継”らしいという話もある。5Dの後継機種はもう少し先だというのだ。
 ぼくとしては、5Dの後継機種が出てくることを大いに期待して楽しみにしているのだが ―― 現行EOSのシリーズの中で5DのメニューのGUIだけが古いままだったり液晶モニターの視認性がめちぇくちゃ悪かったりライブビューができなかったりで、そのへんをなんとかして欲しいし、5D後継機でキヤノンがどんなテを打ってくるのかなあとのわくわくした気持ちがあるからだ。「どの機種の後継か」は楽しみにしてましょう…ということで。
 でも本音を言えば、カメラやレンズの次期新製品については、ぼくはべつにそれほどのこだわりはない。近々カメラを買い換えなくちゃならないという状況でもないし、新製品が発表になる前にオークションで高値で売り飛ばしたいという予定も望みもまったくないし(そうした予定のある人は気になるでしょうが)、そんなことより、ぼくとしては明日の天気のほうがずっと気にかかる、昨日も東京は大雨だったしねえ。


 キヤノンの「EF100〜400mmF4.5〜5.6 L IS 」ズームレンズはぼくの数少ない“愛用レンズ”の一本だ。いまでは珍しくなった直進ズームで、その操作性も好きだしホールディングのバランスも良いし、なによりも描写性能が良いのが気に入って使っている。ズーム全域にわたったじつに切れ味が良い。その愛用レンズとほとんど同じスペックで(でも価格は半額近い)、シグマから120〜400mmが発売されて興味津々。
 というわけで使ってみたわけだが、キヤノンの100〜400mmにとは大きさ重さはほとんど同じ。ズーミング方式が違って、やはり使い慣れたキヤノンのほうがぼくは好き。かんじんの描写性能はキヤノンのほうが良かった。価格のことを考えるとしょうがないのか。キヤノン100〜400mmはズーム全域にわたって開放絞り値でも切れ味、ヌケの良さ、などで勝っていた。ぼくが使ったシグマの120〜400mmが、たまたま“不調”だったのかもしれず、そのへんはよくわからん。今度、シグマに聞いておきますね。

 六本木のど真ん中のヘリポート。我が事務所のすぐそばに米軍の基地がある。ぼくは“空ちゃん”でも“軍ちゃん”でもないのでこうした航空機についてもなーんにも知らない。そういえば、9・11のあとなどはこの周辺は相当ピリピリした雰囲気が漂っていたんだけど、いまは(表面的には)のんびりしています。たまたま持っていた120〜400mmを構えて金網越しにスナップ。軍用ヘリは騒々しいんだよね、ぱたぱたぱたぱた騒音をまき散らす。事務所の中にいても、飛んでくるコースによっては、ほんとウルサい。

ピントは浅く、まるで薄紙一枚ぶん

キヤノン・EOS-1Ds Mark III + SIGMA 50mmF1.4 EX DG
 この50mmF1.4のような大口径レンズになると、ピント合わせはきわめて難しくなる。とくに近距離でのピント合わせのときだ。難しいのは、ひとつはピント位置。つまり、「画面のどこにピントを合わせて撮るか」、を厳密に決めなければならい。だいたいこのへんに合わせておけばいい、といった曖昧さは通用しなくなる。F1.4開放絞り値ともなると、ピント範囲は大変に浅く、まるで薄紙一枚ぶんぐらいなのだ。
 ふたつめは、その狙った部分に、「いかに正確にピントを合わせるか」、である。わずかでも狙ったところからピントがズレていたりすれば間の抜けた写真にしかならない。そのためには、ピントの浅い大口径レンズでは、MFでやるよりもAFに頼ったほうが早いし確実だろう。やせ我慢してMFでピントを合わせようとしても近頃の明るさを優先させたファインダースクリーンや、APS-Cサイズ相当のカメラのちっちゃなファインダー画面では、なおさらピントのヤマを見きわめて的確に合焦することは至難のワザだ。そのうえ、ファインダーの画面では実際よりもずっとボケ量が小さく見えるので、だからよけいにピントが合わせづらい。


 ただし、「AFがおすすめ」とは言ったけれど、そもそも位相差AF方式の測距性能が根本的にタコだったり、ピントを合わせる位置が適切でなかったりすれば(こちらは撮影者の技量とセンスが必須)AFに頼ることはできない。ま、つまり、大口径レンズはそれほどに使いこなしの難しいレンズ、ということだ。
 ファインダーを覗いてもボケの様子が事前に確認できない。さらに位相差方式のAFはこうした厳密でシビアなピントの要求に応えられない「こともある」というわけ。そこで、ライブビューと、撮像素子面でダイレクトにピントを合わせる方法(コントラストAFなど)が、こうした大口径レンズでボケ味を生かし正確にピントを合わせて撮影するにはいまのところベストだと考えられていて、だから、一眼レフカメラでの像面ダイレクト測距に注目が集まっているのだ ―― 像面AF方式が将来、主流になるだろう。
 この写真を撮った1Ds Mark IIIは、EOS Kiss X2のように像面コントラストAFはできないけれど、ライブビュー撮影は可能だし、ピントチェックのための拡大表示もできる。それを利用することで、MFではあるがより正確なピント合わせもできる。ただしライブビューでの手持ち撮影では、シャッターを切るときにカメラがわずかでも前後しないように細心の注意を払わなくてはならず、これもまた難易度が高い。無精をせず三脚を使って撮影すべきなのだが、つい酔っぱらったいきおいで手持ち撮影してしまいました…。

白ワインに氷を浮かべる

キヤノン・EOS 5D + SIGMA 50mmF1.4 EX DG
 開放F値F1.4の焦点距離50mmレンズで、前玉(第一レンズ)がこんなにも大型なものはとても珍しい。50mmF1.2のレンズといってもおかしくない、と思うほどの大きさがある。いま手元にあるキヤノンEF50mmF1.2のレンズと比べてみても、第一面レンズの径だけならF1.2レンズの倍近くある。いったいどちらがF1.2レンズなのか、と不思議に思うほどにシグマ50mmの前玉が大きく、すごく贅沢なレンズの印象を受ける。
 だからもちろん重い。価格もシグマのレンズとしては少し高め ―― そもそもレンズ硝材は大きくなるほど高くなる、小さくなるほどめちゃくちゃ安くなる、だからコンパクトカメラに使っているレンズなんか「一眼のレンズに比べるとアンなもんタダみたいなもんですよ」と、慌てもんが聞くと誤解するようなことを言っていたメーカーの人がいましたが、もちろん名前なんか出せませんよ。
 とにもかくにも、シグマのこの50mmF1.4レンズは、やるんならトコトンやろうじゃないか、というシグマの意気込みが伝わってくる“熱いレンズ”だ。


 前群のレンズ径を大口径化することで画面周辺部の光量不足を抑えることができる。だから、こうした大口径レンズにありがちな開放絞り値での周辺光量不足はほんとに少ない。ぼくは周辺光量不足の少しぐらいあるレンズのほうが好きなんだけど、この50mmF1.4開放絞りの描写は、だから、ややものたりない気もしないでもないほど。
 鏡筒も太く、そのため口径食も少なく ―― まったくない、わけではないが ―― とくに点光源のボケが画面周辺部まで丸く柔らかで、結果的に自然でふんわりとしたボケ味になる。描写はちょいと絞ればじつにシャープ(さすがF1.4はボケのほうが目立ちすぎてシャープ感はそこなわれる)。とにかくフレアーがきわめて少なくヌケが良いのが印象的。だから思い切って露出オーバーにして撮ることもできる。

 暑い夏の昼間、冷えた白ワインを注いだグラスに小さな氷を入れて飲む。ワインのオンザロック。ワイン通から顰蹙をかう。しかしこうすると安いワインでも、ナンだかとってもおいしく感じていい気持ちになる。気持ちよくなると写真が撮りたくなる。その、いい気持ちを「メモ」しておこうと撮っておく。F1.4の開放絞り値で45センチの至近距離。ピントはグラスの“クビ”のあたりに合わせるとちょうど浮かんだ氷にもピントがくる。プラス1.7〜2.0EVの露出補正をして、少し飲んでは数カット写す。

今年は「フルサイズ元年」

ニコン・D700 + AF-S 24〜70mmF2.8G
 今年は、このD700のほかにも、キヤノンやソニーからフルサイズ判デジタル一眼の新型機種が発表されるだろう。キヤノンにはすでにEOS-1Ds Mark IIIやEOS 5Dがあるが、その5Dの後継機種にあたるカメラが(たぶん)今月中には発表になるに違いない。ソニーはだいぶ前から「出すぞっ」と言い続けていて、それが今秋に正式発表だろうと予想されている。だからぼくは、2008年はフルサイズ元年、と呼んでおります。
 さて、このソニーのフルサイズ新型機種には当然ながら撮像素子シフト方式の手ブレ補正機構が組み込まれるだろう。既存のフルサイズ用交換レンズのイメージサークルをどのように対応しながら手ブレ補正を効かせてくるか、それが大いに興味がある。
 もし仮に、ソニーの「フルサイズ機種」の撮像素子が、35mm判フルサイズ相当の大きさ(約36mm×24mm)だとすれば、それにぎりぎりのイメージサークルしかないレンズが何本かあるようで、それに対して撮像素子をシフトさせればイメージサークルから実画面がはみ出してしまう…。さぁどうするんでしょうか、心配なんですけけど(ほんとは興味津々なんですが)、すると、そんなことタナカさんに心配してもらわなくてもよいです、と言われちゃいました。そりゃもっともです。


 もうひとつ、同じように、アンタに心配してもらわなくてもよろしい、と言われそうだけど、たとえば、いまAPS-Cサイズ相当のデジタル一眼を使っていて、「どうもイマイチ、思ったようにイイ写真が撮れない」と不満を持っている人たちがいたとしましょう。その人が、「フルサイズ判一眼レフを使えば、きっといまよりイイ写真が撮れるに違いない」と思い込んで、APS-Cサイズ一眼を捨ててフルサイズ一眼に移ったとしたところで、たぶん、期待するほどのイイ写真は撮れないんじゃないかと思いますよ。
 こうした「フルサイズ一眼なら、いまよりももっと良い写真が撮れそう」と思い込んでしまうことを「フルサイズ症候群」と言います。もっとイイ写真が撮れそう…と思うのは幻想でありまして、ヘタな人がカメラを替えたからといってとつぜんウマくなりイイ写真が得られることは相当に難しい。
 が、それとはまったく逆に、このカメラを使うとイイ写真が撮れるに違いない、と信じて(信じ切って)撮影に挑むことで、そのカメラが持っているオーラのようなもののが、いままで自分自身も気づかなかった隠れた写真的センスや撮影能力を引き出してくれ、ホントにイイ写真が撮れるということが起こりうるかもしれません。つまり、ワンステップ高いところにあるカメラを(無理して)使ってみることで、一点打開、ということもなくはない、ということですな。カメラだけでなくレンズにも同じようなことが言えるかもしれない。

D700の「ぼくの」おすすめモード

ニコン・D700 + TAMRON 28〜300mmF3.5〜6.3 VC
 D700の使いこなしの“おすすめモード”が3つある。それが万人向け、かどうかわからないが、ぼくはこのモードを常時設定にしていて、充分に満足して使っている。D3やD300にもほとんど同じものが備わっているので、それらのユーザーも参考にされるとよろしいでしょう。

 おすすめモードの1つめは、「3D-トラッキングAF」。これはD3/D300とまったく同じ機能だが、D700でちょっと“食いつき”が良くなったような気もする。2つめは「アクティブD-ライティングのオート」。D3/D300ではOFF/弱/標準/強の“マニュアル設定新だけで、この選択がちょいと難しかった。D700では新しくオートが加わって、被写体状況をカメラが判断して自動的に強弱をコントロールしてくれる。オートモードが加わって俄然使いやすくなった。
 3つめは「感度自動制御」。これはD3/D300に備わっているものとまったく同じ。このモードの素晴らしさをあまりわかってない人が多いようで、それはじつにもったいない。感度自動制御はISO感度を有効に活用した露出コントロールの一種と考えてもよく、とくにD700のように高ISO感度でもノイズの少ない高画質が得られるカメラでは利用価値は高い。とにかく、以上の3つのモードは、いずれも他のメーカーのカメラにはない機能で、大変に有効、かつ効果もある機能だ。


 いっぽうで、D700の“非おすすめモード”というのもあって、なにかといえば、「高感度ノイズ低減」と「ヴィネットコントロール」の2つだ。どちらの機能も(なぜなのか理由がよくわからんのだが)、初期設定では「標準」に設定されている。これがイカン。高感度ノイズ低減もヴィネットコントロールも、通常は「OFF」にしておくべきだ(高感度ノイズ低減はONにするにしても「弱」がせいぜい)。いろいろ撮り比べてみたけれど、この2つともON(それも「標準」)にしておくことのメリットはほとんどなく、いや逆にデメリットのほうが大きいように感じた。むろん、ONにして強弱を選んで設定すべき被写体や状況ももちろんあるだろうけれど、通常一般的な撮影では(とくにD700の場合は)害あって利なしと言えなくもない。

 タムロンの手ブレ補正内蔵(VC)の28〜300mmズーム。D700との相性はよろしい。ズーム全域で最短は49cm。その望遠側300mmの最短で撮ったのがこの写真。このときの感度自動制御モードの設定は、ISO感度の上限はISO3200 ―― 通常はISO6400が多い、シャッタースピードの下限は1/15秒 ―― このタムロンのVCレンズは手ブレ補正がめちゃくちゃ良く効く、露出モードは絞り優先AE ―― F8だった。
 で、実際の撮影データーはといえば、F8で1/15秒、ISO640だった。つまり感度自動制御とは、シャッタースピード下限の1/15秒以下にはならないように、ISO感度が基準ISO感度のISO200からだんだんとアップするものなのだ。仮に1/15秒でISO3200にしても露出アンダーになるときに、ようやくシャッタースピードが1/15秒以下になる。これが感度自動制御の理屈なのだ。……わかってもらえたかなあ、ナンだか説明がもうひとつヘタでスマン。