PENTAXの新型★50mmF1.4レンズ ━━ その2

リコー・HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW + PENTAX K-1 Limited Silve

 レンズ後部(マウント部)を覗きながらピントリングを回すとレンズ後群が前後移動する。1~2枚の少ないレンズを群にしてそれを移動させるインナーフォーカス式やリアフォーカス式ではなく、レンズ構成枚数の多いレンズ群を"チカラづく"で移動させているように見える。
 レンズの開発メンバーにそれとなく聞いてみたら、「詳しくはまだ話ができませんが、光学系のバランスを崩さないようなオーソドックスなフォーカシングシステムを採用しています」とのことだった。

 ということは ━━ 以下はぼくの想像だが ━━ 後群フォーカス方式を採用しているのだろう。
 多くのレンズを一群にまとめた固定群をそのまま前後に移動させてピント合わせをする方法で、この後群フォーカス方式のメリットは、近距離時に目立ちやすくなる収差や、ピント位置による画角変化(ブリージング)を少なくすることが比較的容易にできる。前群/全群フォーカス方式と違ってピント合わせでレンズ全長に変化がおこらない利点もある。




 逆にデメリットとしてはフォーカスレンズ群が大きく重くなってスピーディーなAF測距がしにくくなる。だから小型軽量なフォーカスレンズ群のインナーフォーカス式やリアフォーカス式では非力なモーターでも高速AFが可能(一般的に、だけど)。
 しかし★50mmレンズのように重いフォーカス後群を高速に前後してAFをおこなうにはパワー(トルク力)のある駆動モーターが必要となる。MFレンズならそんな心配はまったく無用。

 ★50mmF1.4レンズに採用のAF駆動用モーターは、レンズ名にも記されているようにSDM(Supersonic Direct-drive Motor)である。発表資料によると「高速で静粛性に優れたAFを実現する新開発のリング型SDM(超音波モーター)を搭載 」とのこと。
 リコーが新規に開発した円弧型の超音波モーターで、くだんの開発メンバーによると「パワーを重視して新しく設計、開発したSDM」なんだそうだ。

 PENTAXレンズでリングタイプのSDMというと、すでにD FA15~30mmF2.8やD FA24~70mmF2.8に使用されている。じゃあ、そのリング型SDMとこの新型★50mmのSDMとドコが違うのかと疑問を持つ"厄介な人"も出てくるだろうが、そこは、ほら、これ以上は突っこまないのがジェントルマンというもの。
 「パワーを重視して新開発したリング型SDM」ということで納得して良いのではないか。はっきりと言えることは既存のリング型SDMと、こんどのSDMとはまったく「別もの」だ。

 OVFを覗きながら位相差AFしてもライブビューでの像面AFをしても、無音でそこそこスピーディーにピントが合う。他社の最新型カメラとレンズの組み合わせに比べて「同等」とはいかないものの、ストレスをほとんど感じない測距スピードだった。
 ベータ版のレンズなのでAFスピードも精度についはまだまま未定。AF制御のアルゴリズムなどはこれから本格的に調整されていくのだろう。なおMFモードでのピントリングの操作感は良い。重からず軽からずで、滑らかで確実な感触だった。

 光学ファインダーを覗いての位相差AF撮影は、とくにこの50mmレンズのようにF1.4大口径ともなれば中央1点フレームでピント合わせするのがおすすめ。
 ただし50mmクラスの画角の大口径レンズだとコサイン誤差の現象が目立ってくるのでそのへんの使いこなしは難しくなる(85mmクラスになるとだいぶ使いやすくなるのだけど)。
 だからといって端っこの周辺AFフレームを選択してピント合わせするのは(ぼくからは)あまりすすめられない ━━ 機種によって異なるので一概に言えないけど、こういっちゃナンだけどPENTAXのカメラでは、撮影に工夫しながら中央1点AF撮影することがおすすめですね。



 こうして手にしてみても確かに50mmF1.4レンズとしてはやや大きめ。そのうえ、ずしっと重い。けれど、きっちりとピントを合わせて撮ってみれば、これがほんと良く写る。「少しぐらい大きくても重くても、ま、イイか」と思ってしまう、そんなレンズ。
 つづく・・・。


PENTAXの新型★50mmF1.4レンズ ━━ その1

リコー・HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW + PENTAX K-1 Limited Silve

 昨年のことだが、10月末にリコーから2本の新型交換レンズの発表があった。なんだか、ひさびさの新型レンズ発表のような気もする。

 まず1本めはフルサイズ判用の単焦点レンズで「HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW」である。
 昨年春のCP+2017でモックアップが参考展示されていたが、あのレンズがようやく正式に発売されることになった。発売は今年春の予定だが、価格はもちろんスペックも不明。いや、スペックは決まっているようだがリコーはまだ詳細は公表していない。仮称としてレンズ名とごく簡単な情報を発表しただけ。

 その新型★50mmF1.4レンズを、なぜか使わせてくれることになった。
 「まだまだベータ版だけど、使ってみますか?」と言われて「もちろん」と即答。

 もう1本はAPS-C判用の広角ズームレンズ。発売時期は今年の夏ごろの予定だとか。
 スペック、正式なレンズ名称などは不明で、「HD PENTAX DA★11~18mmF2.8(仮称)」として開発発表されただけ。17~27.5mm相当の広角ズームで、F2.8コンスタントF値、スターレンズだということ以外はわからない。




 そのD FA★50mmF1.4レンズについては、「概略」以外いっさいのスペック数値は教えてくれないまま借りることになった。しかし受け取った50mmレンズの鏡枠のリングにはレンズ名がはっきりと刻印されていたからソコを見ればだいたいのことはわかった。
 しばらくしてリコーから新型レンズ開発発表のプレスリリースが送られてきた。それには以下のようなごくごく簡単なスペックの紹介があった。

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● Kマウントデジタル一眼レフカメラ用交換レンズ
 製品名:HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW(仮称)
 ・Kマウント採用、35ミリフルサイズイメージセンサーのイメージサークルをカバー
 ・高速で静粛性に優れたAFを実現する新開発のリング型SDM(超音波モーター)を搭載
 ・AW(防塵・防滴)構造を採用し、厳しい撮影環境下での雨粒や埃の侵入を抑制
 ・0.4mの最短撮影距離を実現
 ・発売時期:2018年春頃を予定
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 レンズ名に(仮称)とあるが、それが正式名称と考えていいだろう。

 初めて手にした★50mmF1.4レンズはズシリッとした重さを感じる。外観スタイルはシンプルで、つくりも操作感も良さそう。高級感もある。レンズを手にしただけで「これは良く写りそうだなあ」という印象がする(実際、とても良く写るのだがその話はのちほど)。

 以下は手にした新型★50mmレンズを見て推測した"非公認"スペックの一部。
 サイズも重さも不明なので手元にある簡単なスケールを使って測ってみることにした。
 レンズ全長は約11cm、最大径は約8cm、重さは約830gといったところか。フィルター径は72mmφである。
 レンズを覗き込んでみると絞り羽根は9枚の円形絞り。最小絞り値はF16である。マウント部にはAF連動カプラーがない。電磁絞り方式であることがわかる。形式でいうと「KAF4マウント」になるわけだ。

 フォーカス目盛りを見ると最短撮影距離は0.4m。だから最短時のレンズ前面から被写体までの距離(ワーキングディスタンス)は約25cmとなる。そのときの撮影範囲は実写してみると約18.5×12.5cmだった。
 レンズと同時に借りたフードには「PH-RBB72」と刻印されていた。おそらく50mmF1.4レンズ専用フードだろう。PLフィルター操作窓もある。

 というわけで、とりあえずPENTAX新型★50mmレンズについての簡単なファーストレポートです。リコーから、「試作品なのでまだ非公表に」とストップがかからなければ実写した印象なども含め数回に分けてレポートをしていきましょう。




大口径レンズのメリットとデメリット・その2

オリンパス・OM-D E-M1 Mk2 + M.ZUIKO DIGITAL ED45mmF1.2 PRO

 前回のつづき。長文。

 大口径レンズを使って、明るいF値(開放絞り値またはそれに近い絞り値)で撮影するときは正確に、確実にピント合わせをすることがなによりも重要だ。そして、これが思った以上に難しいけど大口径レンズを活用する大事なポイントでもある。

 そこで、正確に確実にピントを合わせて撮る方法として、ぼくの経験上のアドバイスになるけれど以下の3つを挙げておきたい。

 (1) 基本的にAFを活用する ━━ ただし注意すべき点はあるが
 (2) 三脚を使う、またはカメラが前後に動かないように工夫する
 (3) ライブビュー画面で拡大表示にしてMFでピント合わせする




 話をすすめる前にちょっとひと言。それは「どこにピントを合わせて撮るか」をはっきりと決めているという前提が必要。漫然と「だいたい、そのへんにピントが合ってればいい」というレベルの人たちには上記3つのアドバイスはなんの役にも立ちません。

 さてまず (1) のAF活用のすすめる理由は、MFよりもAFのほうがずっと素早く、確実に、正確にピントが合わせられるからだ。
 「AFよりもオレの目のほうが正確だ」と(間違った)自信を持っているガンコな人たちがいるようだが、そのような人たちは、ただ単にAFが使いこなせないだけ。

 AFは1点スポット測距。多点による自動選択測距を選んではいけない。
 選んだ1点測距ポイントをピントを合わせたいところに重ねてシャッターボタンを半押しする。イッキ押しはだめ。ピントが正しく合っていることを確認したらシャッターボタンを押し込む。急いでいても、急がない。
 これがAFでピント合わせするときの基本の基本(応用編もあるがそれはいずれ)。

 いまのAFには少なからず問題点もある。現在の高画素化して解像描写力が飛躍的にアップしている中でAF精度そのものが追いつかなくなっているカメラもあることだ(とくに位相差方式のAF)。話がややこしくなるので省略する。
 もうひとつ、AFの誤測距という問題もある。ピントが合っていないのに「合ってるぞ」とカメラがウソの報告をしてしまうことだ。

 こうしたAFの問題点に対処する方法としては(消極的な方策ではあるが)、シャッターボタン半押しAF測距を数回繰り返してピント確認したのちに撮影すること、ゼッタイにピントを外したくないときは測距を繰り返して数カット撮っておくことだ。
 ぼくはいつも2~3回半押しAF操作をしてから撮影するようにしているし、大事なシーンでたったワンカットで撮影をすませてしまうことはほとんどない。




 つぎに (2) の三脚使用のすすめは、ピントを固定してピントがずれないようにするため。
 そもそも三脚を使用する目的は3つある。(1) ぶれ防止、(2) フレーミング保持、(3) ピント固定、である。その 目的 (3) のために三脚を使用する。

 せっかく正確にピントを合わせてもシャッターを切る寸前に「ふぅーっ」と無意識にカラダが前後してしまうと(これがよく起こる)せっかく正しくピントを合わせてもとたんにピンぼけ写真になってしまう ━━ 一般的な傾向としてシャッターを押し込むとき後ろに傾くより前側にわずかに動くことが多い。
 その気づかず無意識の前後移動を防ぐために三脚にカメラを固定する。ただし撮影する相手、人やモノは動かない、ぶれない、ぶらさないということは大前提。

 とくに近距離にピントを合わせて撮影するときは、明るいF値になるほどピント面は極端に「薄く」なる。カメラを構えて息をしてもピントがズレることがある。だから至近の距離で開放絞り値で撮影するときは三脚を使うのがベターである。
 三脚を使わない(使えない)ときは、カメラを構えたカラダをテーブルや壁、立木などに寄りかかって動かないように固定させてシャッターを切ることだ。

 そして (3) のライブビュー+MFによる撮影方法であるが、これが(現在のところ)正確にピントを合わせて撮影するためのベストの方法だろう。

 その前に、まずライブビューモードで撮影をしてみることだ。ミラーレスカメラならEVFも背面モニターで撮影するのも同じだが、一眼レフカメラでは光学ファインダーをやめてライブビューモードに切り替える(その機能のない一眼レフカメラは正確なピントはあっさりと諦める)。つまりイメージセンサー像面によるダイレクトAF測距で撮影することだ。

 ただ残念なことにこの像面AF測距にも「誤測距」は避けられない。大きくピンぼけでの誤測距ならモニターを見て判断できるが、ごくわずかなピントずれだったら肉眼判別ができない。
 そこでモニター拡大表示のモードを選ぶ。
 さらに、より確実なピントを望むならそこでMF+拡大表示+ピーキング表示に切り替える。カメラを保持するカラダが前後しない自信があるなら手持ち撮影も不可能ではないが、より安全にピント合わせするにはここでも三脚の使用をすすめる。

 長くて、くどい話になってしまったが、そういうわけで大口径レンズを使って正確にピント合わせをするのは、そうそうカンタンではありませんよということです。
 でも、大口径レンズにはこうした苦労をしてでも使ってみたい魅力がいっぱいありますよね。そんな愉しいレンズがこれからもっとたくさん出てきそうです。

 では皆さん、どうぞ良いお年をお迎えください。


大口径レンズのメリットとデメリット・その1

オリンパス・OM-D E-M1 Mk2 + M.ZUIKO DIGITAL ED25mmF1.2 PRO

 ところで、オリンパスの3本の「F1.2」シリーズなどF値の明るいレンズにはメリットだけではなくデメリット ━━ というとやや語弊があるか、難点かな ━━ もある。
 以下の話はオリンパスのF1.2シリーズについてだけでなくAPS-C判やフルサイズ判の大口径レンズにも当てはまることだけど。

 大口径レンズの、まずメリットは、

 (1) 大きなぼけを生かした写真が容易に撮れること
 (2) 暗いシーンでも高速のシャッタースピードで撮影ができること
 (3) 一眼レフカメラでは明るいファインダー画面を見てフレーミングできること

 などなど。




 つぎにデメリットとしては(おもに使用上の難点といえるか)、

 (1) レンズが大きく、重く、高価になること
 (2) 晴れた日中など明るいシーンで撮ろうとすると最適なシャッタースピード選べず露出オーバーになってしまうこと
 (3) ピント面が極めて浅く正確にピントを合わせて撮影することが難しいこと

 デメリット (1) の大口径レンズが大きく重いについては、フルサイズ判やAPS-C判用のレンズにそうした傾向がある。しかしそれらと比べるとマイクロフォーサーズ用レンズは"かなり"小型軽量になる。
 その利点を生かして小型で軽量な大口径レンズを作っているのがオリンパスなどマイクロフォーサーズ陣営か。小型レンズほど(一般的にだが)価格も安く作れるといった利点もある。

 デメリット (2) の適正露出を得るための超高速シャッタースピードが選べないことは、電子シャッターを採用しているカメラでは数万分の一秒というハイスピードシャッターで撮ることができるのでデメリットとは言えなくなったが。

 デメリット (3) のF1.2やF1.4レンズのピント合わせが難しいのは、大口径レンズの宿命みたいなもの。これは仕方ないこと。撮影者の訓練と努力と人一倍の注意力が必要。これこそ大口径レンズの最大のデメリット(使用上の注意点)と言えるだろう。
 デジタルカメラが高画素化したことでピント合わせはより難しくなった。撮影した画像がいきなり巨大に拡大表示されるようになると(低画素カメラやフィルムカメラでは築かなかったような)ほんのわずかなピントずれも目立ってしまうからだ。

 とくにF1.2やF1.4などを選んで近距離撮影する場合などはよほど注意して確実にピント合わせをしなくてはならない。
 思い切ってアドバイスするが、1メートル以近の被写体を撮影するときはF1.2やF1.4の絞り値を選ばないことだ。F2ぐらいに少し絞って撮るのが安全。それでも近距離ピントだから結構ぼける。

 ぼくの経験からであるが、大口径レンズを使って正確に確実にピントを合わせて撮る方法としては以下の3つを挙げておきたい。

 (1) 基本的にAFを活用する(ただし注意すべき点はあるが)
 (2) 三脚を使う、またはカメラが前後に動かないように工夫する
 (3) ライブビュー画面で拡大表示にしてMFでピント合わせする

 この3つの「大口径レンズ使いこなしの注意点」については大事なことだと思うのでもう少し詳しく話をしたいが、さらに長くなってしまいそう。

 というわけで次回に持ち越し・・・。

35mm画角と、F1.2大口径と、20cmの最短

オリンパス・M.ZUIKO DIGITAL ED17mmF1.2 PRO + OM-D E-M1 Mk2

 ED17mmF1.2 PROレンズの画角はフルサイズ判換算で約34mm相当になる。
 その34mm(または35mm)相当のレンズは135mmレンズと並んで、なぜかいまひとつ注目されない画角のレンズだ(ぼくの思い込みかもしれないけど)。フィルムカメラの時代では35mmも135mmも、いまよりももっと人気のあったレンズだったような気もする。

 いまの時代、35mmレンズにいまいち注目が集まらない理由のひとつは、使用目的(おもな被写体やシーン)が明確でないからだろうか ━━ ということはオールマイティーなレンズでどんな被写体やシーンにも使える万能レンズなのだが。
 ふたつめは、ふだん私たちが肉眼で見ている範囲(画角)とほぼ同じなので工夫して撮影しても「平凡」な印象の仕上がりにしかならない ━━ ということは自然でなにげない写真が誰でもが容易に撮影できるレンズだと思うのだけど。




 でも、その撮影画角の万能さと平凡さこそが35mmレンズの魅力でもあり特徴だと言えるのではないだろうか。

 それだけが理由というわけでもないが、写真のベテランになるほど35mmレンズを評価する傾向が強くあるように思う。ぼくも、単焦点レンズを1本だけで選べと言われれば、ほとんど躊躇することなく35mmレンズを選ぶ。35mm画角は自分の「眼」の延長のような感じで使えるし、なくてはならない単焦点レンズの1本でもある。

 35mm相当の単焦点レンズは多くのメーカーがほぼ必ずラインナップに揃えている。開放F値もF2やF2.8よりも明るく、F1.4クラスの大口径レンズも多い。
 ところが、なぜかF1.4よりも明るいF1.2の35mm相当レンズというのが見あたらない(MFレンズにはあるようだがAFレンズではない、はず)。そんな中でオリンパスのED17mmF1.2 PROレンズは、「F1.2の35mm相当のAFレンズ」としてもっと注目してもいいのではないかと思うわけです。

 さらに追加してED17mmF1.2 PROレンズを「ヨイショ」すれば、最短撮影距離が約20cmということと、F1.2大口径の35mmレンズとしては大変に小型軽量であることだ。

 一般的に、レンズは撮影距離が近距離になればなるほど収差が目立ってきて描写が低下する。その「欠点」を補う方法として、ひとつは最短撮影距離をほどほどに止めておく、もうひとつは光学設計を工夫し努力して近距離での欠点が目立たないようにする。
 ぼくは、この最短撮影距離の短さは、F1.2大口径と並んで17mmF1.2 PROレンズの魅力ではないかと。


つながりの良いぼけ

オリンパス・M.ZUIKO DIGITAL ED17mmF1.2 PRO + OM-D E-M1 Mk2



 以下は、やや、というか、かなりオタクっぽい話になるけれど、レンズ一般の「話」として知っておいてもソンはないです(と、思う・・・)。

 ぼけが大きい小さい、とか、滲みがある滲みがない、とか以外にも、写真のぼけにはもうひとつ大切なチェック要素もある。
 「ぼけの連続性」とか「ぼけ質」、「ぼけのつながり」などとよばれるものがそれ。

 ピントの合ったところから大きくぼけるまでの「間(あいだ)」の描写具合のことだ。シャープなピント位置から、なだらかに自然にぼけていくものと急激にストンっとぼけてしまうものがある。言うまでもなく前者のぼけ質のほうが良いとされている。

 ピント面からモノのかたちを崩さずにゆっくりとぼけていくのがつながりの良いぼけで、そうしたぼけは平面の写真画像から自然な立体感や奥行き感を表現してくれる。開放絞りでも絞ったときでも画像全体の雰囲気に大きな変化がおこらない。ストンっと急激にぼける描写は背景との連続性が損なわれているような感じになる。

 ぼけの自然な連続性はとくに広角系レンズでは重要だ(と、ぼくは考えている)。
 オリンパスの開発者に言わせると、ED 17mmF1.2 PROレンズはそこの、ぼけのつながりの良さに"も"こだわって設計されたという。
 確かにそう言われてみれば、17mmF1.2PROで写した画像を見ていると自然な立体感があるし、ぼけた部分のモノのカタチも大きく崩れていない。

 こうしたつながりの良いぼけ描写というものは、具体的に「ほれ、ここがそうなんだよだ」指摘しにくい。そこが難しいところで、レンズ描写の奥深いところではないかと、ま、そう思うわけです。