「出し惜しみ」がめっきり少なくなった最近のキヤノン

キヤノン・EOS 6D Mk2 + EF24~70mmF2.8L II USM

 少し前のことになるが、キヤノンのカメラは新型にモデルチェンジしても機能を「出し惜しみ」すると言われていた。その新型カメラには"敢えて"新しい機能や機構を搭載せずに、次に発売する(予定の)新型カメラやすぐ次に出てくる上位機種のために温存しておく、というもの。「買替え需要」を狙ったもんだ、と非難する人もいた。
 実際はその通りかどうかはわからないが、結果的にそう言われてもしょうがないかな、と思えるフシも過去にはなくもなかった。

 ところが、最近のキヤノンのカメラには、そうした「出し惜しみ」のような気配はほとんど感じられない。新型にモデルチェンジされるごとに「全力投球」して新しい機能などを搭載しているようだ。




 いまは、以前のように「出せば売れる」という、カメラメーカーにとってラクチンな時代ではない。新製品に搭載可能な機能や機構は積極的に採用して、少しでも魅力のあるカメラに仕上げないと売れない。耐久性は別にして撮影機能だけをおおざっぱに比べれば上位機種とほとんど変わらない、そんな新型の下位機種も多くなった。キヤノンに限らずどのカメラメーカーもそうだ。

 そう、以前の"キヤノンらしくない"全力投球型の一眼レフカメラが、EOS 6D Mk2のような気がしてならない。

 もうひとつ、キヤノンの「上から目線」の撮影機能が、近頃だんだんと少なくなってきたことも注目した。由らしむべし知らしめるべからず、キヤノンの言う通りについてきなさい、そうすれば幸せになれますよ、という雰囲気があった。
 ところが、ここ1~2年のキヤノンのカメラを見ていると、ユーザーの要望にきめ細かく応えるようになってきたようだ。フレンドリーなカメラを作るようになった。

 たとえば、キヤノンが長年、ガンコに我を通し続けてきた「シャッター半押しでAEロックが同時にONになって、それが解除できない」という撮影機能が、この6D Mk2で初めてON/OFFをユーザーが選択できるようになった。
 キヤノン以外のメーカーの多くの機種は初期設定では、シャッター半押しでAEロックされない。カスタム設定でON/OFFが選べる。

 AFフレーム1点でピント合わせするとき、AF測距すると同時に強制的にAEも固定されてしまう。フレーミングしてシーンの明暗差が大きく変更されても、AFロックしたままだとピントを合わせたときの露出固定のまま撮影せざるを得ない。せっかくのキヤノンの評価測光も意味も価値もない。
 このことがキヤノンのカメラの大きな難点だった(と、ぼくは長年、そう考えていたし、キヤノンには何度も改善をお願いし続けてきた)。
 それが6D Mk2で"大改善"されたというわけだ。

 キヤノンらしい「頑固さ」は守りつつ ━━ それがなくなっちゃキヤノンのアイデンティティがなくなるじゃないか ━━ 少しづつ進む方向を変えて、従来の小さな難点があちこちで改善されている。新しい機能も積極的に新型カメラに搭載していこう、というキヤノンの姿勢が見えてくる。6D Mk2をしばらく使ってみてそんなことを感じました。


キヤノンEOSフルサイズ判一眼レフでは「イチ押しカメラ」かな

キヤノン・EOS 6D Mk2 + EF24~70mmF2.8L II USM

 そう遠くない時期に、キヤノンからもニコンからも(そしてオリンパスからも)、縦位置でも横位置でも見やすく角度が自由自在に変えられるハイブリッド可動式モニター付きのカメラが出てくるでしょう。ペンタックス(K-1)や富士フイルムの方式とは違った方式を採用してくるに違いなく、どんなものかそれが愉しみ。
 EOS 6D Mk2が採用のバリアングル式モニターについてはあらためて後半でコメント。




 前モデルのEOS 6Dが2012年12月の発売だから、この新型6D Mk2は約4年半ぶりのモデルチェンジとなる。内容を見比べたり、実際に使ってみるとマイナーチェンジというより「フルモデルチェンジ」である。とても完成度の高いカメラに仕上がっている。
 少し意地悪なことを言うとすれば、わくわくドキドキの感がないカメラであること、かな。キヤノンらしい手際の良さと、ソツのない出来上がりのカメラで、なんの苦労も悩みもせずにカメラ操作ができて、失敗のないほぼ満足のできる写真が誰にでも撮れる、そんなカメラ。

 価格は22万9千円(キヤノンオンラインショップ、税別、SDカード、ケース特典付き)。
 EOSのフルサイズ判カメラには、プロモデルの1D X Mk2は横に置くとして、似たいようなスタイルのカメラが、EOS 5D Mk4(約43万円)、EOS 5Ds(約47万円)、EOS 5DsR(約50万円)があって ━━ いずれもキヤノンオンラインショップ価格 ━━ それらに比べると「約半額」で6D Mk2が買える。

 じゃあ、性能も機能も画質も「半分程度か」といえば、そんなことは決してない。EOS上位機種と実際に撮り比べたわけではないが、明らかに劣ると思われるようなところはない。通常の撮影をするぶんには充分な性能を備えたデジタルカメラであろう。
 画素数は2620万画素もあるし、最高連写速度だって約6.5コマ秒だし、AFだってオールクロスタイプの45点で、うち27点がF8対応・・・。
 価格と性能を考えれば、EOSフルサイズ判カメラの中では「現行イチ押し」のカメラと言ってもいいだろう。

 EOSフルサイズ判カメラでは、この6D Mk2で初めて可動式モニターを採用した。ただし残念ながらバリアングル式。超個人的好みの話をすればボディ横に広がるバリアングル式はきらい。チルト式のほうが文句なしに好き。

 話が横道に逸れるが、可動式モニターとなると、なぜかキヤノンの一眼レフカメラは、バリアングル式にこだわる(ミラーレスのEOS Mシリーズはチルト式ばかりだが)。
 いっぽうニコンは(一部のエントリーモデルを除けば)チルト式のモニターにこだわる。ソニーはほとんどすべての機種がチルト式でバリアングル式は見あたらない。おもしろいのはオリンパスで、こちらはバリアングル式ありチルト式ありで、こだわりはなく気分的(のように見える)。

 どうしてキヤノンが「一眼レフはバリアングル式、ミラーレスはチルト式」と決めているのか、そのへんの理由をぜひ知りたいものです(あ、ついでにニコンやソニーにも聞いてみたい、オリンパスは聞いても詮ない気もするから、まいいか)。
 
 

撮って愉しいレンズですよ、大きくて重いけど

シグマ・14mmF1.8 DG HSM / Art + キヤノン・EOS 6D Mk2

 この14mmF1.8レンズをシグマは「天体星座撮影用に最適だ」と強く押ししている。
 広い夜空をワンショットで写せる、大口径レンズなのでそれほどISO感度をあげなくても高速シャッタースピードで撮れる、F1.8開放F値を選んで撮影しても画面周辺の点光源(星)がそれほど流れて写らない、さらに、一段ちょっと絞り込めば(それでもF2.8)描写性能格段にアップする、などの理由(特長)でイチ押ししているのだろう。
 まるで星空撮影"専用レンズ"であるかのようだ(個人的な感想)。

 こんなふうに積極的に星空専用レンズを強調しているので、星空撮影以外の一般のスナップや風景写真、インテリア写真の撮影はおすすめじゃないのだろうか(そう考えてしまう人も多いのではないか)。




 いいや、そんなことは決してないです。
 被写体もシーンも選ばない。こういっちゃナンだが、星空だけを写すための専用レンズにするにはモッタイナイ(個人的な感想)。
超広角レンズ特有の描写の「クセ」も使いこなしの「難点」も、それを逆利用してみれば新しい表現につながるかもしれない ━━ 実際に使ってみれば、予想外に超広角レンズ特有の「クセ」が小さい、たぶんディストーション(歪曲収差)がほとんどないからだろう ━━ 。

 肉眼の視角を超えるという意味でも、使っててこんなに愉しいレンズはないです(個人的な感想)。

 ところで、つい先日、シグマがこの14mmレンズのための「リアフィルターホルダー換装サービス」を始めた。ユーザーからの強い要望があってそれに応えたという。

 14mmレンズは大きな前玉が飛び出していてレンズ全面にフィルターを取り付けることができない。そうしたレンズではマウント側のレンズ後端部に、薄いシートフィルターを差し込めるようなホルダーが設けられているものもある。
 フィルムカメラの時代では色変換や色補正のためにフィルターがどうしても必要な場合もあったのだけど、しかしデジタルカメラになって専用フィルターがなくても色変換も色補正もそこそこ自由にできるようになった。

 デジタルカメラの時代なのに、どんなシーンでフィルターを使用する必要があるのか、というと星空を撮影する人たちにとっては ━━ ぼくは星空撮影についてはまったく不如意なのだけど ━━ とくに超広角レンズではソフトフィルターが必須らしい。
 小さく弱く写ってしまいがちな星が、ソフトフィルターを使うことで光を滲ませ大きく写せるという。
 市販のシートフィルムをホルダーサイズにあわせてカットし、それをホルダーに差し込んで使う。

 星空撮影でのソフトフィルター使用以外にも、たとえばNDフィルターを使って超低速シャッタースピードで撮影するという要望にも応えることができる。

 フィルターホルダーの取付けは(基本的には)シグマが有料でおこなう。部品代を含め税込みで7560円。ただしキヤノンマウント用レンズのみで、ニコン用、シグマ用での対応は予定なし、とのこと(たぶんマウント部のスペースの関係で物理的にホルダーを付けることができないのだろう)。
 それにしても、ユーザーの要望に(それほど数が多いとは思えないけど)、きめ細かく対応していくシグマの姿勢にちょっと感心しました。

自分らしい写真を撮るのに役立つレンズ、かな

シグマ・14mmF1.8 DG HSM / Art + キヤノン・EOS 6D Mk2

 14mmの超広角の画角で、なおかつ開放F値がF1.8の大口径は、(たぶん)このシグマ14mmレンズ以外にはないと思う。F2.8開放F値なら14mmレンズとしてはそれほど珍しいものではない。F2.8とF1.8だと約1.3EVほどの違いがある。いきなりそこまで明るいレンズを作ったのがシグマ。
 加えて、描写性能がすこぶる良い、というのもこのシグマ14mmレンズの大きな特徴でもある。つまり「14mm+F1.8+優れた描写性能」の"合わせ技"が珍しくて貴重なレンズだ、というわけだ。

 「14mm+F1.8+優れた描写性能」の3条件を満足させるには、大きくて重いレンズになってしまうのは仕方ないこと(最近のシグマレンズは大きい重いが定番ではあるが)。
 価格も、とうぜんながら安くはない(これはしょうがない、が、使って撮ってみれば少しは納得するでしょう)。




 14mmもの超広角レンズともなれば、「マジメ」に使いこなして「それらしく」写そうとすれば一筋縄ではいかない。F1.8という大口径超広角だから、なおさらだ。

 強烈なパースペクティブ(遠近感)のせいで、手前のものが大きく写り、逆に少し後方にあるだけで小さく写り、水平線や垂直線が容易に傾いて写る。肉眼で見ているのと、写した写真とのギャップがタイヘンに大きい。
 さらに、注意散漫ノー天気のままフレーミングして撮影すると、画面周辺部に余計なものが遠慮会釈なく写り込んで、結果、間の抜けた写真になってしまう。

 強いパースペクティブに加えて、ディフォルメーションによる歪みも目立つ。いわゆるディフォルメ歪みというもので、画面周辺部に向かって引っ張られるように歪む現象で真ん丸なサッカーボールがラグビーボールのようにへしゃげて写る。
 というような厄介な現象があるのが超広角レンズの描写特性で、それをできるだけ目立たないようにカメラアングルやポジションを選び、フレーミングを工夫する必要がある。

 「マジメ」に写す、というのは、そう、強烈なパースペクティブやディストーション、ディフォルメーションを目立たせないように「ウマくフレーミングして写す」という意味です。

 だけど、好きな写真を撮影して愉しもうとしている人たちは、水平線垂直線が傾こうが、パースペクティブだとかディフォルメーションなんぞ、そんなこと気にして撮影しなくてもいいですよ。
 写した写真が歪んでようが傾いていようがいっこうに構いません。自由自在に思う存分、大胆に超広角写真を愉しめばイイ。
 そうした「自由」な気持ちになって大口径・高画質・超広角の写真にチャレンジすれば、いままでの自分の写真とはまったく別ものの、斬新な写真が撮れてるかもしれないですぞ。


 

 

入ると脱出するのが困難だぞ「TG沼」

オリンパス・TG-5

 内蔵ズームレンズは広角側25mm相当ではF2.0と明るいが、望遠側100mm相当になるとF4.9と約2.5段ぶんも暗くなる。TG-5は手ぶれ補正を内蔵してるけれど、ちょっと油断するとぶれてしまうから注意ですぞ。




 TG-5にはWi-FiとGPSの機能が内蔵されていている。スマートフォンのアプリ「OI.Track」を使ってモニターにGPS情報や気圧、温度、方位、標高、水深などをグラフ表示や地図表示することができる。一部の情報はTG-5本体の画面にリアルタイムで表示することも可能だ。これをオリンパスはフィールドセンサーシステムとよんでいる。

 撮影した画像はWi-Fiを使ってスマートフォンにトラッキングデータとともに転送、保存もできる。ただし、Bluetooth LEを内蔵していないため画像を自動転送することはできない(ニコンのW300はBluetooth LEが備わっていてそれができるがスマートフォンでGPS地図情報を表示することができない、一長一短ですね)。

 GPS内蔵カメラやGPS機能を使っている人には常識でしょうけど、GPS機能をONにして撮影すると撮影画像のExifにGPS情報が付加される。これが便利。なのだけど、バッテリーがすぐになくなってしまう、とGPS機能を嫌う人がいる。
 そうじゃないですよ、ただ位置情報を画像ExifにくっつけるだけならGPSをONにして撮影してもそれほどバッテリーに影響はないはず。バッテリーがなくなってしまう心配があるのは、撮影場所や移動ルートなどを別ファイルとして保存するログ情報記録をONにしっぱなしにしているからだ。ログ情報取得をしないのなら(ぼくはいつもそうしてるが)それほどバッテリーを喰うことはない。

 TG-5の操作系デザインで大きく改良されたのが3つある。1つは、ズームレバーがシャッターボタン回りのリング式レバーになったこと。たったこれだけでズーミングの操作性が飛躍的に良くなった。もう1つは新しくコントロールダイヤルが採用されたこと。露出補正や絞りの変更などがとてもやりやすくなった。

 さらにもう1つは、GPSログ情報のON/OFFが、いままではメニューの奥底に行って設定変更しなければいけなかったのが、ボディ上部に専用スイッチが設けられて、それでワンタッチON/OFFできるようになった。これで、GPSログ情報をONにしたまま一晩置きっ放し、翌日にバッテリー空っぽというイタイめに会わなくてすみそうだ。
 TG-5のこの「3つ」の改良をぼくは最大に評価をしている。

 このほかに(TG-5のカタログやホームページをご覧になればいいのだけど)、プロキャプチャー機能、4K動画撮影機能、ハイスピード動画撮影機能、タイムラプス動画機能、深度合成撮影機能、フォーカスブラケット撮影機能などなどの便利な撮影機能もある。
 こうして見ると、他メーカーの同様の防水防塵耐衝撃カメラに比べてTG-5に備わっている撮影機能は、一歩(どころか数歩)抜きんでている。良くできたアクセサリー類も揃っている。
 だからだろう、TGシリーズはリピート購入(つまり買い替え)の比率が約65%もあるそうだ。「TG沼」に入り込むと、ちょっとやそっとでは抜け出せないみたいですね。

 もしTG-5の購入を考えているなら ━━ TG沼に入る勇気があるなら ━━ 別売オプションとして、近接撮影時に大変に役立つフラッシュディフィーザー(FD-1)やLEDライトガイド(LG-1)があるので、どちらかはぜひ一緒に買っておくことです。とくにおすすめはLEDライトガイドのほうです。メモリーカードを買い足すのをやめてこちらを選ぶほうがいいかも。