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出し惜しみのない全力投球型カメラ

ニコン・D850 +AF-S NIKKOR105mmF1.4E ED

 D850の発売は昨年の9月のことだ。その発売前から大人気で、約5ヶ月にもなるのにその人気は衰えることなくいまだに「品不足」が続いているという。40万円近くもするカメラなのにこりゃあ凄いことだなあと感服している。
 昨年、一昨年とニコンにはあまり「イイことなし」で、やや暗くて重い雲が漂っていたのだがD850のたった1機種でいっきに空を覆っていた雲を蹴散らし快晴、皆さん、元気もりもりという感じになった。よかった、よかった。




 D850人気沸騰の昨年秋のことだったが、ニコンの、とある関係者に「D850、大人気でヨカッタですね・・・」と言ったところ、「あのねえ、打者がジャストミートして打った球が左中間深くてんてんと転がってるのに、かんじんのバッターが一塁ベース手前でばたっと転倒、てなことが往々にしてニコンにはあるんです、そうならなければいいんですけど、ね」と苦笑いしていた。

 その話を聞いてぼくは大笑いしたけど、ところが実際は、左中間のヒットどころか文句なしのホームランだった。
 こう言っちゃナンだけどニコンにとってはひさびさのホームラン。打った本人は、確実にヒットにはなるだろうけどまさかホームランになる、とは思ってなかったのではないか。発売後の長期間の品不足状態を見ていると、なんとなくソレがわかる。

 D850はスペック的にはコレといった特徴のある一眼レフカメラではない。しかし備わっている一つ一つの機能(や機構)が大変に優れている。こつこつとひたむきな態度で性能をアップさせている。
 優れた機能がバランス良く詰め込まれているのもD850の良いところ。その結果、高い総合力を発揮している。カメラ全体の完成度は、既存の一眼レフカメラに比べてアタマ1つ、いや2つほと飛び出ている印象も受けた。

 「わぁっ」と驚くような機能や機構が備わっているわけでもない。
 ニコンフェローの後藤哲朗さん言うところの「飛び道具」を持たない真っ向勝負のカメラである。なんとなく地味な感じがするカメラで、「冗談も言わず笑顔も見せずのマジメ秀才型一眼レフカメラ」というのがD850を使ってみてのぼくの感想。

 新しい機能を次の機種に置いておくといった「出し惜しみ」がない。全力投球で、それも好感が持てた。
 いま可能なことはどしどし搭載してしまえ、といった思い切りの良さがある反面、ちょっぴりもの足りない"未熟な"部分もなくもないが・・・。しかし(繰り返すが)総合的に見れば完成度はとても高い。ほんと、良いデキのカメラだと思う。

PENTAXの新型★50mmF1.4レンズ ━━ その4(終)

リコー・HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW + PENTAX K-1 Limited Silve

 逆光に強いレンズだ。ゴーストを出してみようとイジの悪いシーンをいくつも撮ってみたが「期待するほど」のゴーストが出てこない。まったく出ないというわけではないが、出てもほんの小さく薄いもの。
 この★50mmF1.4に限らず最近のPENTAXのレンズはズームであっても、ほんとゴーストが出にくくなった。ゴーストやフレアを防止するためにレンズフードの必要もないのではないかとさえ思うほどだ。

 ぼけ味はナチュラルで上品。図々しくなく、柔らかなぼけでぼくは好き。
 ピントが合ってシャープなところから大きくぼける部分まで、なだらかに自然にぼけていく。いわゆる、つながりの良いぼけである。このような良好な(個人的な好み)ぼけと、高解像力を両立するのは球面収差の残し具合が難しく、ペンタックスよくがんばりました、と思う。

 ところで、ぼけ味というのは ━━ オリンパスのF1.2レンズの紹介のときにも述べたことだけど ━━ 好き嫌いで評価が大きく分かれるところがある。くっきり、はっきりして自己主張の強いぼけ味のほうが好き、という人もいる。それはそれでアリです。
 レンズ描写がどうのこうのと理屈を言ったところで、煎じ詰めれば「好き嫌い=良し悪し」になってしまうところもなくもない・・・。




 それはソレとして、いま多くのメーカーはナチュラルで上品なぼけ、つながりの良い自然なぼけが得られるようにレンズ設計をする傾向が強くなってきている。
 いままで作られてきた数多くの「名レンズ」の描写性能(解像力やコントラストやぼけ味などなど)をデーター化し、定量化して、それを新しいレンズ設計に生かすという手法を採用しているメーカーもいくつか出てきている。
 たとえばニコンは「OPTIA」、オリンパスは「収差測定器」などの最新鋭検査器を使って、いままで曖昧で掴み所のなかった"レンズの味"を定量化してそれを設計や生産に結びつけるようにしている(キヤノンは公開していないが同じようなモノを使っていると思う)。

 ところがPENTAXはというと、こう言っちゃナンだけれど、昔ながらのオーソドックスなレンズ設計と生産を続けていて(続けざるを得ない諸般の事情もあるのだが)、ナンだかとっても人間的な、情緒的な"味"のあるレンズを作っているような気もする。
 誤解を恐れずにたとえるなら、ニコンやオリンパス、キヤノンのレンズが『 最新型の優れた検査機器を活用した安定量産型の高性能レンズ 』だとすれば、PENTAXのレンズは『 頑固な職人気質の少人数技術者たちが家内生産的に作っている優れたレンズ 』のような気がしないでもない。

 そんな、やや気まぐれだけど人肌のぬくもりが感じられる(これ個人的感想)レンズやカメラを作っているのがPENTAXのもひとつの魅力 ━━ 蓼食う虫も好き好きだ、と言われそうだが。
 とはいうもののPENTAXは、もちろん従来のレベルのレンズを作り続けてればイイなんて考えておらず、時代(カメラの性能向上化)に合わせて安定して高性能なレンズ生産に向かおうとしているようだ。

 その証拠に、リコーは「新世代のスター(★)レンズをめざして」あらためて★レンズの規格基準値を見直して、基準値を従来からぐんと厳しくしたそうだ。
 新しい★規格のレベルに沿ってレンズの設計や製造をおこない、その第一弾が★50mmF1.4レンズだというわけだ(それ以前に、じつは★70~200mmF2.8レンズでも少しづつ始めていたようだが)。

 新★レンズの基準値がより厳格になったからといって、PENTAXレンズの「味」が失われることはないと思う ━━ PENTAXレンズは、見かけ上の解像感を狙ってコントラストやシャープネスを強くするレンズ設計をするのではなく、素材重視と言えばいいか、階調再現性や抑えめなコントラストに重点を置いて愚直なレンズ設計スタイルを守り続けているようだ ━━ だから新★レンズ規格が採用され高性能化しても、以前からのPENTAXのレンズらしい描写の味がなくなることはないだろうと、ベーター版レンズではあるが新型★50mmF1.4を使ってそんな感じを受けた。




 ★レンズの規格値の見直しは、つい先日、開発発表された「HD PENTAX DA★11~18mmF2.8(仮称)」ズームレンズにも適用されているそうです。
 こちらのズーム、DAレンズにしては(ぼくの印象だけど)大きい。PENTAXは小型軽量とは"縁を切り"、描写性能のためには大きくても重くてもいいじゃないか、と方向転換したかのようです(ぼくの勝手な思い込みかもしれないけど)。


PENTAXの新型★50mmF1.4レンズ ━━ その3

リコー・HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW + PENTAX K-1

 いきなりだけど、余計な話から。
 デジタルカメラが成熟期に入って(いまがそうだろう)、カメラやレンズの性能はフィルムカメラ時代とは比較にならないほど「進化」した ━━ 断っておくが進化したのは解像描写力などの数値で判別できる要素であって、アナログ的な描写性能については「進化した」とは言い切れないように思う ━━ 。

 そんなデジタルカメラと交換レンズを使って解像力や収差などをチェックするときは確実なピント合わせが必須。ぶらさないで撮ることも絶対条件。

 ところが正確で確実なピント合わせが求められるとき、全幅の信頼をおいてAFでの撮影はできない。AF性能は、だいぶ性能向上したと言えども、まだフィルム時代の基準を引きずっているところもあり、ごくごくわずかな偽合焦(ピンぼけ)してしまうこともある。
 とくに高解像力を誇るデジタルカメラと交換レンズとの組み合わせではわずかなピンぼけ(または微ぶれ)をしてしまってはその実力を評価することは決してできない。これは位相差AFの一眼レフカメラだけでなく像面AFのミラーレスカメラでも同じこと。

 というわけで、PENTAX★50mmF1.4レンズとK-1を使っての解像力などのチェック撮影では、めんどうだけど「ライブビュー+MF+拡大表示+ピーキング表示(+三脚使用)」でおこなった。




 室内でコントラストチャート(の、ようなもの)を撮ったり、実際に可能な限り条件を変えてフィールドであれこれ撮影してみた。そうして得た個人的な印象が以下の通り。
 評価にやや偏りがあるかもしれないことは納得しておいて欲しい・・・というほど大袈裟なもんじゃないですけど。

 解像描写力は大変に優れている。
 ハイコントラストに頼った"ウソっぽい"見かけ上の高解像力ではなく、少し柔らかめな描写だがしっかりとした「芯」のある"ホンモノの"高解像力である。
 近接撮影でも描写性能が損なわれることなく中距離、遠距離と同様に秀逸。近距離で目立ちやすい収差をよく抑え込んでいる。遠距離から近距離まで平均して優れた描写性能を保っているというのはこの★50mmF1.4の注目すべきポイントといえるだろう。

 F1.4開放絞り値でも、球面収差が少ないことはもちろん、コマ収差も通常シーンではほとんど目立たない(遠景の点光源などを見れば画面周辺部でわずかに目立つが少し絞り込めば気にならなくなる)。
 周辺部の解像力もコントラストも、開放F1.4絞り値でも画面中央部の写りと比べてもほとんど遜色はない。画面全域で高い解像描写力がある。

 強いて"欠点らしきもの"を述べるとすれば、撮影シーンによっては開放絞り値付近で軸上色収差(フリンジ)が目立つことがあることぐらいか。高い解像描写力を誇る大口径レンズではそうした軸上色収差は宿命みたいなもの。
 なお、PENTAXの一部カメラではカメラ内RAW現像のメニューに「フリンジ補正」という優れた機能があるのでそれを利用すれば、輪郭状に発生するピンクやグリーンの軸上色収差はきれいに消すことができる。ぜひ憶えておかれるといいだろう。

 平坦な被写体を撮っても中心部から周辺部まで均一でシャープなピントが得られる。このことからも像面湾曲収差も大変に少ないことがわかる。
 歪曲収差の少なさにも驚いた。こちらはK-1内蔵のディストーション補正機能など必要ないほどである。

 少しの期間、試し撮りしてみただけで「これは素晴らしいデキのレンズではないか」と大いに感心させられた。開放絞り値からなんの気兼ねもせずにどしどし撮影ができそうな、わくわくするようなレンズだった。
 ベータ版のレンズで、ここまで高い描写力があった。これから本格的に調整が進めば製品版レンズではもっと優れた写りになるだろうと期待が持てる。

 


 レンズ後端部を見てみるとレンズ本体にマウント金属を固定しているネジ止めが、なんと7カ所もある。通常、PENTAXレンズのマウント固定は5本ネジ。それが2カ所も多い。
 「ほんのわずかなガタツキが出てもピントに影響します。それだけピントには大変にシビアなレンズです。それと、手荒く扱っても少しのガタもこないように、このレンズのマウント固定には徹底しました」と、レンズの開発メンバー。
 この話を聞いて、ふーんっ、といたく感心してしまった。


PENTAXの新型★50mmF1.4レンズ ━━ その2

リコー・HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW + PENTAX K-1 Limited Silve

 レンズ後部(マウント部)を覗きながらピントリングを回すとレンズ後群が前後移動する。1~2枚の少ないレンズを群にしてそれを移動させるインナーフォーカス式やリアフォーカス式ではなく、レンズ構成枚数の多いレンズ群を"チカラづく"で移動させているように見える。
 レンズの開発メンバーにそれとなく聞いてみたら、「詳しくはまだ話ができませんが、光学系のバランスを崩さないようなオーソドックスなフォーカシングシステムを採用しています」とのことだった。

 ということは ━━ 以下はぼくの想像だが ━━ 後群フォーカス方式を採用しているのだろう。
 多くのレンズを一群にまとめた固定群をそのまま前後に移動させてピント合わせをする方法で、この後群フォーカス方式のメリットは、近距離時に目立ちやすくなる収差や、ピント位置による画角変化(ブリージング)を少なくすることが比較的容易にできる。前群/全群フォーカス方式と違ってピント合わせでレンズ全長に変化がおこらない利点もある。




 逆にデメリットとしてはフォーカスレンズ群が大きく重くなってスピーディーなAF測距がしにくくなる。だから小型軽量なフォーカスレンズ群のインナーフォーカス式やリアフォーカス式では非力なモーターでも高速AFが可能(一般的に、だけど)。
 しかし★50mmレンズのように重いフォーカス後群を高速に前後してAFをおこなうにはパワー(トルク力)のある駆動モーターが必要となる。MFレンズならそんな心配はまったく無用。

 ★50mmF1.4レンズに採用のAF駆動用モーターは、レンズ名にも記されているようにSDM(Supersonic Direct-drive Motor)である。発表資料によると「高速で静粛性に優れたAFを実現する新開発のリング型SDM(超音波モーター)を搭載 」とのこと。
 リコーが新規に開発した円弧型の超音波モーターで、くだんの開発メンバーによると「パワーを重視して新しく設計、開発したSDM」なんだそうだ。

 PENTAXレンズでリングタイプのSDMというと、すでにD FA15~30mmF2.8やD FA24~70mmF2.8に使用されている。じゃあ、そのリング型SDMとこの新型★50mmのSDMとドコが違うのかと疑問を持つ"厄介な人"も出てくるだろうが、そこは、ほら、これ以上は突っこまないのがジェントルマンというもの。
 「パワーを重視して新開発したリング型SDM」ということで納得して良いのではないか。はっきりと言えることは既存のリング型SDMと、こんどのSDMとはまったく「別もの」だ。

 OVFを覗きながら位相差AFしてもライブビューでの像面AFをしても、無音でそこそこスピーディーにピントが合う。他社の最新型カメラとレンズの組み合わせに比べて「同等」とはいかないものの、ストレスをほとんど感じない測距スピードだった。
 ベータ版のレンズなのでAFスピードも精度についはまだまま未定。AF制御のアルゴリズムなどはこれから本格的に調整されていくのだろう。なおMFモードでのピントリングの操作感は良い。重からず軽からずで、滑らかで確実な感触だった。

 光学ファインダーを覗いての位相差AF撮影は、とくにこの50mmレンズのようにF1.4大口径ともなれば中央1点フレームでピント合わせするのがおすすめ。
 ただし50mmクラスの画角の大口径レンズだとコサイン誤差の現象が目立ってくるのでそのへんの使いこなしは難しくなる(85mmクラスになるとだいぶ使いやすくなるのだけど)。
 だからといって端っこの周辺AFフレームを選択してピント合わせするのは(ぼくからは)あまりすすめられない ━━ 機種によって異なるので一概に言えないけど、こういっちゃナンだけどPENTAXのカメラでは、撮影に工夫しながら中央1点AF撮影することがおすすめですね。



 こうして手にしてみても確かに50mmF1.4レンズとしてはやや大きめ。そのうえ、ずしっと重い。けれど、きっちりとピントを合わせて撮ってみれば、これがほんと良く写る。「少しぐらい大きくても重くても、ま、イイか」と思ってしまう、そんなレンズ。
 つづく・・・。


PENTAXの新型★50mmF1.4レンズ ━━ その1

リコー・HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW + PENTAX K-1 Limited Silve

 昨年のことだが、10月末にリコーから2本の新型交換レンズの発表があった。なんだか、ひさびさの新型レンズ発表のような気もする。

 まず1本めはフルサイズ判用の単焦点レンズで「HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW」である。
 昨年春のCP+2017でモックアップが参考展示されていたが、あのレンズがようやく正式に発売されることになった。発売は今年春の予定だが、価格はもちろんスペックも不明。いや、スペックは決まっているようだがリコーはまだ詳細は公表していない。仮称としてレンズ名とごく簡単な情報を発表しただけ。

 その新型★50mmF1.4レンズを、なぜか使わせてくれることになった。
 「まだまだベータ版だけど、使ってみますか?」と言われて「もちろん」と即答。

 もう1本はAPS-C判用の広角ズームレンズ。発売時期は今年の夏ごろの予定だとか。
 スペック、正式なレンズ名称などは不明で、「HD PENTAX DA★11~18mmF2.8(仮称)」として開発発表されただけ。17~27.5mm相当の広角ズームで、F2.8コンスタントF値、スターレンズだということ以外はわからない。




 そのD FA★50mmF1.4レンズについては、「概略」以外いっさいのスペック数値は教えてくれないまま借りることになった。しかし受け取った50mmレンズの鏡枠のリングにはレンズ名がはっきりと刻印されていたからソコを見ればだいたいのことはわかった。
 しばらくしてリコーから新型レンズ開発発表のプレスリリースが送られてきた。それには以下のようなごくごく簡単なスペックの紹介があった。

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● Kマウントデジタル一眼レフカメラ用交換レンズ
 製品名:HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW(仮称)
 ・Kマウント採用、35ミリフルサイズイメージセンサーのイメージサークルをカバー
 ・高速で静粛性に優れたAFを実現する新開発のリング型SDM(超音波モーター)を搭載
 ・AW(防塵・防滴)構造を採用し、厳しい撮影環境下での雨粒や埃の侵入を抑制
 ・0.4mの最短撮影距離を実現
 ・発売時期:2018年春頃を予定
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 レンズ名に(仮称)とあるが、それが正式名称と考えていいだろう。

 初めて手にした★50mmF1.4レンズはズシリッとした重さを感じる。外観スタイルはシンプルで、つくりも操作感も良さそう。高級感もある。レンズを手にしただけで「これは良く写りそうだなあ」という印象がする(実際、とても良く写るのだがその話はのちほど)。

 以下は手にした新型★50mmレンズを見て推測した"非公認"スペックの一部。
 サイズも重さも不明なので手元にある簡単なスケールを使って測ってみることにした。
 レンズ全長は約11cm、最大径は約8cm、重さは約830gといったところか。フィルター径は72mmφである。
 レンズを覗き込んでみると絞り羽根は9枚の円形絞り。最小絞り値はF16である。マウント部にはAF連動カプラーがない。電磁絞り方式であることがわかる。形式でいうと「KAF4マウント」になるわけだ。

 フォーカス目盛りを見ると最短撮影距離は0.4m。だから最短時のレンズ前面から被写体までの距離(ワーキングディスタンス)は約25cmとなる。そのときの撮影範囲は実写してみると約18.5×12.5cmだった。
 レンズと同時に借りたフードには「PH-RBB72」と刻印されていた。おそらく50mmF1.4レンズ専用フードだろう。PLフィルター操作窓もある。

 というわけで、とりあえずPENTAX新型★50mmレンズについての簡単なファーストレポートです。リコーから、「試作品なのでまだ非公表に」とストップがかからなければ実写した印象なども含め数回に分けてレポートをしていきましょう。




大口径レンズのメリットとデメリット・その2

オリンパス・OM-D E-M1 Mk2 + M.ZUIKO DIGITAL ED45mmF1.2 PRO

 前回のつづき。長文。

 大口径レンズを使って、明るいF値(開放絞り値またはそれに近い絞り値)で撮影するときは正確に、確実にピント合わせをすることがなによりも重要だ。そして、これが思った以上に難しいけど大口径レンズを活用する大事なポイントでもある。

 そこで、正確に確実にピントを合わせて撮る方法として、ぼくの経験上のアドバイスになるけれど以下の3つを挙げておきたい。

 (1) 基本的にAFを活用する ━━ ただし注意すべき点はあるが
 (2) 三脚を使う、またはカメラが前後に動かないように工夫する
 (3) ライブビュー画面で拡大表示にしてMFでピント合わせする




 話をすすめる前にちょっとひと言。それは「どこにピントを合わせて撮るか」をはっきりと決めているという前提が必要。漫然と「だいたい、そのへんにピントが合ってればいい」というレベルの人たちには上記3つのアドバイスはなんの役にも立ちません。

 さてまず (1) のAF活用のすすめる理由は、MFよりもAFのほうがずっと素早く、確実に、正確にピントが合わせられるからだ。
 「AFよりもオレの目のほうが正確だ」と(間違った)自信を持っているガンコな人たちがいるようだが、そのような人たちは、ただ単にAFが使いこなせないだけ。

 AFは1点スポット測距。多点による自動選択測距を選んではいけない。
 選んだ1点測距ポイントをピントを合わせたいところに重ねてシャッターボタンを半押しする。イッキ押しはだめ。ピントが正しく合っていることを確認したらシャッターボタンを押し込む。急いでいても、急がない。
 これがAFでピント合わせするときの基本の基本(応用編もあるがそれはいずれ)。

 いまのAFには少なからず問題点もある。現在の高画素化して解像描写力が飛躍的にアップしている中でAF精度そのものが追いつかなくなっているカメラもあることだ(とくに位相差方式のAF)。話がややこしくなるので省略する。
 もうひとつ、AFの誤測距という問題もある。ピントが合っていないのに「合ってるぞ」とカメラがウソの報告をしてしまうことだ。

 こうしたAFの問題点に対処する方法としては(消極的な方策ではあるが)、シャッターボタン半押しAF測距を数回繰り返してピント確認したのちに撮影すること、ゼッタイにピントを外したくないときは測距を繰り返して数カット撮っておくことだ。
 ぼくはいつも2~3回半押しAF操作をしてから撮影するようにしているし、大事なシーンでたったワンカットで撮影をすませてしまうことはほとんどない。




 つぎに (2) の三脚使用のすすめは、ピントを固定してピントがずれないようにするため。
 そもそも三脚を使用する目的は3つある。(1) ぶれ防止、(2) フレーミング保持、(3) ピント固定、である。その 目的 (3) のために三脚を使用する。

 せっかく正確にピントを合わせてもシャッターを切る寸前に「ふぅーっ」と無意識にカラダが前後してしまうと(これがよく起こる)せっかく正しくピントを合わせてもとたんにピンぼけ写真になってしまう ━━ 一般的な傾向としてシャッターを押し込むとき後ろに傾くより前側にわずかに動くことが多い。
 その気づかず無意識の前後移動を防ぐために三脚にカメラを固定する。ただし撮影する相手、人やモノは動かない、ぶれない、ぶらさないということは大前提。

 とくに近距離にピントを合わせて撮影するときは、明るいF値になるほどピント面は極端に「薄く」なる。カメラを構えて息をしてもピントがズレることがある。だから至近の距離で開放絞り値で撮影するときは三脚を使うのがベターである。
 三脚を使わない(使えない)ときは、カメラを構えたカラダをテーブルや壁、立木などに寄りかかって動かないように固定させてシャッターを切ることだ。

 そして (3) のライブビュー+MFによる撮影方法であるが、これが(現在のところ)正確にピントを合わせて撮影するためのベストの方法だろう。

 その前に、まずライブビューモードで撮影をしてみることだ。ミラーレスカメラならEVFも背面モニターで撮影するのも同じだが、一眼レフカメラでは光学ファインダーをやめてライブビューモードに切り替える(その機能のない一眼レフカメラは正確なピントはあっさりと諦める)。つまりイメージセンサー像面によるダイレクトAF測距で撮影することだ。

 ただ残念なことにこの像面AF測距にも「誤測距」は避けられない。大きくピンぼけでの誤測距ならモニターを見て判断できるが、ごくわずかなピントずれだったら肉眼判別ができない。
 そこでモニター拡大表示のモードを選ぶ。
 さらに、より確実なピントを望むならそこでMF+拡大表示+ピーキング表示に切り替える。カメラを保持するカラダが前後しない自信があるなら手持ち撮影も不可能ではないが、より安全にピント合わせするにはここでも三脚の使用をすすめる。

 長くて、くどい話になってしまったが、そういうわけで大口径レンズを使って正確にピント合わせをするのは、そうそうカンタンではありませんよということです。
 でも、大口径レンズにはこうした苦労をしてでも使ってみたい魅力がいっぱいありますよね。そんな愉しいレンズがこれからもっとたくさん出てきそうです。

 では皆さん、どうぞ良いお年をお迎えください。


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